中沢けい公式サイト 豆畑の友
ホーム プロフィール・著作リスト 中沢けいへの100の質問 中沢けいコラム「豆の葉」 お問い合わせ
伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

ロンドン着いた当日

2014年03月29日(土)

Sohoのアパートメントに着いて、すでに疲れ果てていたつれあいは身動きもできなくなって寝てしまったので、一人で周辺の探索と買い物に行った。もう6時前で、通りには人があふれていた。パブとかレストランが建ち並ぶ繁華な通りである。タクシーの中から街を眺めていたら、街を歩く男がみんなSherlockのWatsonに見えてしかたがなかったが、自分が歩いて個々の男とすれ違うと別にWatsonにみえなくなっておる。Tescoというスーパーで買い物をしていたら、在英7年というインド人の男に「きみの髪は美しい」と声をかけられた。40くらいの知的そうないい男。くふふふ、なんていいとこだろう、ロンドンは。酒とか牛乳とかジュースとかパンとかワインとかハムとかチーズとか買ったら、重たくて、その上寒くて、それ以上うろつく気になれずに直帰したのだが、道々目についたのが、パブの前のおおぜいの人だかり。とんでもない数の人が店の前で立ち飲みをしている。中をのぞくとそこも立ち飲みの人々で(わずかに席があるが)立錐の余地も無い。Mのズンバでもここまで人は集まらない。そういうパブが点々とある。不思議なことにここはSohoでチャイナタウンに隣接しており、街にもTescoにも多種多様な人が行き交っているのに、パブにいるのはいわゆる「イギリス人」ばかり。イギリス文化の根本は、おそろしく社交好きで話し好きな文化じゃあるまいかと思いつつ、ちょービールが飲みたかったが、ひとりで入って、おやじいつものと頼む気にもなれず、泣く泣く家にかえって、お風呂入ったり(ここには湯船がある)買ってきたもの食べたりしていたら、9時ごろつれあいが目をさまして、周辺の探索に行こうと誘うので、外に出て、そういう立錐の余地も無いパブの中に入り、椅子を見つけて座ってLondon prideを半パイント。あーーうまかった。まろやかでこくがあって奥深くて。そして適温であった。カリフォルニアのビール屋は、どこも冷やしすぎ。そのあと、つれあいは杖をつきつつ無理を押して歩き回り、あたしに案内してくれてるようで、ここをまっすぐ行くとトラファルガースクエア、ここを行くとピカディリー、ここには60年代に公衆便所と呼ばれていたレストランがあって(内装が似ているせいで)2シリングでどっさり食べ物が出てきたからよく来たものだなどと若い頃の思い出を語りつつ、適当なレストランに入って食事をしたが、気がつくと客は若者ばかりで、ウエイターはみんなゲイだった。帰ったら11時近く、つれあいはもちろんコートも脱がずに虚脱しており、あたしもさすがに疲れて12時前には寝て6時まで寝た。

↓前の日記 / 次の日記↑

   
談話室 リンク集「豆の茎」 メルマガ「豆蔵通信」 サイトマップ