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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

WholeFoodsに買い物と客

2014年03月30日(日)

ランチに客がくることになっていたので、朝、ピカディリーのWholeFoodsという、アメリカ資本の高級スーパーにお総菜を買い出しに。WholeFoodsがその町に来れば、その町は成熟したといわれ、カリフォルニアのうちの町にも数年前にできた。お総菜は高級でおいしいが、高いので、あたしはもっと庶民的かつ知的なと思えるTraderJoe'sに行ってしまう。朝、裏通りを伝い歩いて行った。そこらへんはゲイ関係の店が多くて、行き交う人たちもほとんどゲイだ。そういえば今日(ロンドン時間で29日)から同性婚OKになる。WholesFoodsで2つの買い物袋(持参したTraderJoe'sの袋とNちゃんにもらったKINOKUNIYAの袋)いっぱいに詰め込んで帰ろうとしたら迷子になった。大きな通りに出て、花屋の店先のライラック、これぞヨーロッパの春ーーという花束にみとれていてはっと気がついた。そこはLibertyという有名店であった。何かおかしい。道が大きすぎる上に向こうの道筋には、まるで阿蘇の外輪山のように、荘厳で重厚な建物群がそびえたっておる。ここはもしやRegent street、あの銀座や日本橋の(ちょっと前までの)町並みは戦後再興期にここの景観を安上がりにパクったにちがいないと来るたびに思うのだが、通り名を見たらまさにそうだ。地理がわかってないので、新宿二丁目を歩いていたらいつのまにか銀座に来てしまったような感じで、あわててつれあいに電話したら、タクシー拾って帰ってこいと役に立たない助言をされ、Sherlockじゃあるまいし(カンバーバッチのです)コートのすそをはためかせて、手を上げて「Taxi!」なんていえるわけもなく、そのままもくもくと元来た道を歩き続けて、元の新宿二丁目に出たのであった。
お客はつれあいの友人の美術大学の教授とアーティストの夫で、とてもとてもおもしろい女だった。しかし生粋のロンドン中心で生まれ育った人で、そのなまりか性格か、なかなか聞き取りにくいしゃべり方だったが、おもしろいので一所懸命耳を傾けた。お客をもてなし、つれあいは疲れはて、あたしはまたWholeFoodsに、明日はつれあいの別の友人宅に、太古からの友人の家にお昼にいくので、手みやげの花とワインを買いに出た。こんどは迷わず、表通りを通って帰ってきた。ピカディリーからちょっと行くとShaftesburyという通りになり、中華街になる。だからあたしはinvisibleになる。

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