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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

ルイの脱走

2012年04月12日(木)

きのうルイが逃げた。管理人さんが、あれ、人間じゃないものが自動ドアを、と思ったときには遅かった。連絡が入って、とるものもとりあえず父の家に駆けつけて、管理人さんが近いところは探してくれたが、みつからず、あたしはリードをもっていつもの公園、いつもの細道、それから国道に出て、死骸がないか確認し、国道沿いで歩いていたチワワ連れの人にきいたら見ていないといわれ、行くが行くと、遊水池公園、土手にあがったところで済々こうの生徒がマラソンをしており、二人の女子高生にきいたところ「あっそれならあっちへ」と。土手の上を行くが行くと、柴犬連れの夫婦に出会い、きいたところ「橋のほうにいた、ついてきよった」と。それで土手の下を駆け抜けて、橋のたもとにたどりつき、ミニプードル連れの女に出会い、きいたところ、「リードだけ持ってるからそんなことかと思ったところだ。あっちからきたが見なかった、こっちにいくからさがしてあげる」と。親切に涙する思いで携帯を交換し、名前を交換し(O田さん)、さらに行くと、車のよくとおる道に出た。ここをわたるか(家からとおざかる)わたるまいか(家から離れない)考えて、ルイの性格を考えると後者だと。行くが行くと、土手が2つに別れておる。一方からきた男子高校生にきくと、「こっちでは見ませんでした」と。そこでもう1つのほうを行くが行くと、土手から見下ろした道の向こう側に女子高生が10人ばかりわらわらと群れているのがみえ、目をこらすとその足下に白いものが。ルイだと確信し、もしやはねられて重傷をおってるところを助けられたかとどきどきしながら土手を走りおり、道を押しわたり、手をふりながら走り寄ると、そこにルイが。あたしの顔を見て、おっと、こりゃまた、しつれいしました、みたいな顔で頭を下げてすりよってきた。聞けば、道のまんなかをうろうろしていたのでつかまえて歩道につれてきたと。首のタグから電話してみたが、おじいさんが出て何がなんだかわからなかった(父である)と。必由館と熊高の生徒たちであった。それでありがとう、ほんとうに助かりましたと何遍もおれいをいいつつそこを離れ、O田さんに電話して「みつかりましたー」と報告し、家に連れて帰ったのであった。ふと万歩計をみたら、一万歩ちかく加算されてあった。遊水池の桜が満開だった。

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