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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

走れイエスと詩心二千年

2012年02月01日(水)

Y浦さんの「走れイエス」を見ている。こないだイーピックスの本をいっぱい買ったときにおまけにもらったDVDだ。どんなに朗読が好きでも、講演の記録って見たことないし、どうなのかなと思ったら、ものすごくいいんだ、これが。Y浦さんの語りが。声が。ケセン語が。ほほえみが。お茶目なしぐさが。落語みたいに、笑いながら聞いておる。DVDの中で、お客さんもどっと笑っているのが聞こえる。途中で放蕩息子のところを朗読してくれたが、それがすさまじい。長者窮子みたいだけど、血を吐くような叫びだった。いいといえば、S匠の「詩心二千年」。すごかった。書いてあるけど、S匠の声がはっきり聞こえる。語り口調なのだ。それでよりよくわかる。もの知らずのあたしに、諄々と語りきかせてくれてるようで、まるでケセン語訳聖書みたいにCDつきなんじゃないかと思えるほどで、しかも内容は、意表をつくというか、何十年来の疑問が氷解するような、そんなすごさだ。

九州西部の風景と朗読

2012年01月31日(火)

鳥栖、長崎と転戦して熊本。でんしゃにいっぱい乗った。たのしかった。えきべんも買ったし、くまモンストラップも買った。在来線の快速で福岡から鳥栖にいくまで、ものすごいアロエの大株を見た。大きな花咲くサザンカも見た。かもめで鳥栖から長崎にいくときには、カササギをみた。それから有明海の波がしずかに寄せるところもみた。山側に日が沈んでいった。海側は逆光もなくて、じつにおだやかにしずかに暮れていった。波がひたひたと寄せて、かえさずに(ほんとはかえしているのだが)そのまま吸われていくような静けさだった。海苔の養殖が美しかった。長崎は「姉の結婚」で、ようく見知っておったので、はじめての感じがしなかった(駅周辺ははじめて)。ランタンで光りかがやいていた。鳥栖の「ライブ万事OK」大盛況であった。C野さん、ありがとうございました。長崎のカフェ豆ちゃん、お客がぎっしりつまったときの京橋の「ユマニテ」や西荻の「数寄和」みたいな感じで、声のとおる感じもとってもよくて、つい「トーク」というより「詩人の聲」の長崎出張みたいなノリになり、朗読をがんがんと。たーのーしーかったーー。やっぱり朗読は楽しい、なぜこんなに楽しいか、コリンウィルソンかA川Y治氏に聞けばわかるかも。人を征服しつつイケちゃう感じなのかも。豆ちゃんのY田さん、そしてO野さん、ありがとうございました。東古川町のカフェ豆ちゃんで、岡野雄一マンガ展、開催中。あたしはそれに、花輪代わりに行ったのである。

再送・予告 鳥栖で「ライブ!万事OK」鳥栖篇

2012年01月27日(金)

やって来ました、佐賀は鳥栖!
九州各地で大人気の「ライブ!万事OK」鳥栖篇でございます。
悩みを持っておいでください。泣いて笑って、すっきりいたします。

「ライブ! 万事OK」
1月29日(日)午後1時半〜3時半
サンメッセ鳥栖
くわしくは
とす男女共同参画市民実行委員会 0942(85)3508
http://www.city.tosu.lg.jp/2908.htm

タケと合宿

2012年01月26日(木)

急いで書かないとタケのいのちに置いてけぼりにされてしまうようで焦っている。とにかく寝ている、一日中、死骸みたいな顔して。前は、つまり数ヵ月前は、何日かにいっぺん、生きてるのかなと心配になって触ってみてたのだ。でも今は一日に何回も、生きてるのか、ほんとに生きてるのかと、あたしが触り、S子が触る。動きもどんどんゆっくりになり、表情もとぼしくなってきておる。食べることだけは忘れない。ぬうっと台所にやって来て、タケ、何をしている、行って座れ、といわれながら、そこに何を見るでもなく、何を考えているようでもなく、ただ、立っている。食べたいのだ。でも何を? といわれてもわからないふうで、タケはそこに立っている。
ゆうべは、さんにんでいっしょに寝た。合宿のようなものであった。ぴーちゃんだけ自分の部屋(とりかごという)で寝た。風邪を引いて以来、あたしは下の部屋で寝ているので(つれあいにうつさないよう)ニコもどうどうとベッドにあがってきていっしょに寝ておる。夜中にはと気がつくとニコがこっちをじーっとみつめていたりする。タケはいつものあたしの仕事部屋とS子の部屋の間か、居間の小さい灯りを常夜灯みたいにつけてある下で、寝ている(どっちにもベッドがある)。でもきのうはタケの新しいベッドを下の部屋に入れてやったら、すなおについてきてそこで一晩中起きずに眠った。二日前は夜の間二度もあたしを起こしにきて、そのたびに起きていって出してやったのである(でも朝、うんこを家の中でもらしてしまった)。朝目が覚めて、まだ犬たちが寝ているのを感じるのはとても楽しい気分だった。

タケの落とし文

2012年01月26日(木)

タケが、かったるくてかったるくてしかたがないように歩く。そもそも散歩にいこうと誘った時点で、気がつかないか(耳が遠い)その気がない。犬クッキーをちらつかせるとよっこらしょといいながら立ちあがる。ニコはその時点で、あたしの足にうしろから体当たりしながら(だからときどき膝の裏に命中して、かくんとなる)あたりを飛び跳ねており、リードをつけようとすると喜びのあまりからだをくねらせるのでなかなかリードがつけられない(というのを毎日くりかえしておる、学習しないのである)。しかしタケにはリードはつけない。つけると、家を出たところで固まってしまうからだ。リードをつけなくてもかたまることはよくあるが、クッキーをちらつかせればしぶしぶ歩く。少しいってまたクッキー、それが欲しさに小走りになることさえある。むかしはクッキーなんてやらずにどこまでも歩いた。あたしは甘いのでいつもポケットにクッキーを入れておき、呼んで来たときなどやっていたのだが、ちょっと前には、やっぱりこうしてクッキーでつって歩かせるようになっていた。今、売り出し中の隣の分譲地が、まだ作りはじめて土地の造成をやっていた頃だ。そうやって歩く老犬を見て、工事のおじさんたちが笑って、いちいち袖の下を受け取りながら歩くのかいなんて話しかけてきたものだ。でもその頃は、20メートルくらいで1こ、てな割合だった。今は10歩で1こだ。そうして歩きながらうんこをぽとぽと落としていく。おしりをつぼめずに、ただ歩いているのにうんこをするようになってからだいぶ経つ。だから気をつけていないと、拾えない。きょうも、歩いてると思ったらうんこしていて、うしろに歩幅間隔でぽつんぽつんと落ちておった。あわてて拾いにもどって、みつけのはひからびかけて車にふまれたうんこの群れ、やはり歩幅間隔で落ちていた。ぜったいタケのだと思って、新鮮なのといっしょに拾おうとしたら車にふまれてぺしゃんこになってひっついているんだな、これが。ああたいへんであった。袋がやぶけて爪のあいだにいっぱい入ってしまった。

映画と自堕落

2012年01月25日(水)

ひとりなのでうんと自堕落なことしてやろうと思い、夜の6時にビールのみながら映画見ながら部屋の片づけを始めたところ(それのどこが自堕落って? 6時に映画ってとこと、仕事あるのに片づけしてるとこ、ビールも2本のんじゃおうかなーともくろんでいたとこも) それはWinter's Boneという映画で、方言というかスラングというか(英語字幕つけたのに)何いってるのかよくわからなかったけれどもすごくよかった。こういう映画をみて、ものすごいリアリティあるじゃんと思ってじーんとしている自分に驚いた。でも考えてみれば、これは2001年にアイダホで起こった子どもたちの立てこもり事件の背景にとても近い。その事件を下敷きにしたのが「河原荒草」だったので、さんざん調べて想像していた世界であったのだ。リスを撃って殺して皮をむいて料理するところは見たことないから書こうとも思わなかった。犯罪や麻薬のこともだ。あたしの想像していたものより、河原荒草より、2001年のアイダホ事件より、もっとずっと厳しい現実を描いた映画だった。日本語字幕でもう一回みたい。今、熊本のDenkikanでやっておる。で、けっきょく、見終わって、めしばなに出てきた韓国ラーメンを夕食にして(これも自堕落のひとつ)ビールは1本でじゅうぶんだった。で、それからBrokeback Mountain を見て泣いた(5回目くらい。これ好きだ。でもやっぱり何いってんのかわからないのだ。こっちも英語字幕つきで見た)。自堕落だった。Essential Killing も見始めたが、見終わらずに寝ると思う。おっぱいのところだけみたかったのだ。仕事はぜんぜんできなかった。あたりまえだ。

るすばんと反論

2012年01月25日(水)

るすばんしておる。家族はみんなサンタバーバラ。あたしが残ったのは風邪のためだが、みんながいなくなったとたんにからりと治ったので、なにほんの片道3時間、あたしの走りなら行って帰って、犬たちたった数時間るすばんでOKじゃんと思ったが、やめといた。サンタバーバラはつれあいの講演なのだが、今回のを逃したらこんどいつ聴けるか、聴いとかなくてはと、つい無謀なことを考えた。誕生日も、毎年、今年を逃したらもういっしょに祝ってやれないかも、と思って必死で帰ってくるが、いまだに生きているので、まだ機会はあるかも。起き抜けにA紙でA川氏が詩の朗読について批判してるらしいというのを又聞きし、検索してみて、あらましを知り、その文章読んでもないのに(でも前にも、A川さんのそういう趣旨の文章何回も読んだような気がする)ついったーで腰砕けの気弱な反論を試みておった。バカである。読んでからしろ、と言いたい、自分に。しかしどうも、この、論争とか、反論とか、批判とか、うまくできないたちで、昔から困っておる。人からはそう思われてないようだが、いたって穏やかな性格なのである。衝動的に離婚したりゲルを解体したりするだけで、ちょっと車の運転が荒くてきゅうりの刻み方がやかましいだけで、ほんとにじみちな、穏やかな性格なのである。→そしたらそののち、S木M郎さんが口達者で反論いくらでもやったるでえ的にいっぱいついーとしていたのでおもしろく読んだ。

帰らんちゃよかとOK

2012年01月24日(火)

きょうやってた万事OKは沁みた。他人事ではなかった。2月2日の西日本新聞にのります。いつもはこんな前にはやらずに直前にやって、担当Sさんを困らせているのだが、もうすぐ移動なので、しかたなくやっておったところ、沁みた沁みた。おもわずYouTubeで(それまでNetflixでQueenとかJoan Baezとかのドキュメンタリーを見ながら仕事してたのだが)ばってん荒川の、ところがばってん荒川のがなかったので、島津亜矢の「帰らんちゃよか」を探して、いっしょに歌いながら書いていたのであった。この曲の「どうせ」というところ、あたしならトル。それがあるせいで、子どもによけいなプレッシャーがかかる。「どうせ」がないと、もっとすなおな歌詞になる。詩人からの老婆心てことで。え? これがほんとの老婆心って? 

父と風邪とSageのケーキ

2012年01月24日(火)

ある日父と気持ちのいい会話ができて、ああやっぱりおとうさんだなあと思うとする。あたしもよくやってる、おとうさんをちゃんと支えてあげてるのかもと思えるとする。しかしそのつぎの日に電話すると、父は前の日のいきおいはどこにもなくなり、あーとかうーとかしか言えない年寄りに老い果てていて、娘のことなんかどうでもよくなっていて、自分が死んでるのか生きてるのかもわからないようすになっている……ときがままある。なんにも、なんにも、常なるものはないということだ。きのうの父は、あたしが風邪がひどいといったら「早く寝るんだよ」と何回もいった。母みたいだった。母は言ったが父は言わなかったことだ。風邪があんまりひどいので、明日予定していたサンタバーバラ行きはS子が代わってくれることになった。つれあいの講演なので、あたしはただの運転手。きのうは買い出しにいったS子とトメが、母のために、Sageのケーキと、カリフォルニアロール(好物、握りのおすしより好き)と、カラムーチョ(こういうジャンクなものが好き)と、大福を買ってきてくれた。ぜんぶ食べた。Sageのは、ひさしぶり、さつまいものプディング、これは苦すぎるカラメルが「くーーーーっ」というほどいい味を出しておる。いきなりオトナの世界にひきずりこまれる。まわりが柔らかくて低刺激なので、よけいに度肝をぬかれる。もう一つは客がそれをめぐってバトルしているという「ナポレオン」このカスタードがまた、「ちょーーーっ」というほどオトナのカスタード、こんなカスタードがクリームパンに入っていたら不穏で不穏で心がざわめいて、毎日食べていられないなと思うほど。しかし、このところZionのパン屋のクリームパンにうつつをぬかし(これはクリームパンとしては絶品といえるんだけど)Birdのカスタードを作ってたべていたあたしとしては、たまにこういう最高級品を味わってしゃっきりしないとオトナとしての矜持を忘れてしまう……って何をいってんだかわかんなくなった。とにかくすばらしいということだ。

父と歳時記

2012年01月22日(日)

父に電話、「ばるとが優勝だ、きょうはいろんな賞金とかもらえるから、おっかさんが見たらよろこぶだろうなあ」といっていた。おとうさんだれが好き? ときくと、「いちばん好きなのは隆の山だ、こんど十両におっこっちゃうけどね」「それから千代大龍ってのがいて、学生のときからこの男はどこまでいくかなあと注目してたんだ、本名がめいげついんとかいうんだ、すごいんだ」「それから稀勢の里とか、琴奨菊とか」、それから平清盛の話になって「でもあれはね、見てるとよくなってくるんだろうけど、今はまだなんだかわかんない。清盛と義朝がきょうそうするんだってよ、そんなばかな話があるかい、めちゃくちゃじゃない」と。じゃーよくわかるように清盛の本送ってあげようかというと、「まーそれはいい」とことわられてしまったが、「あんたに頼みがあるんだけど」という。「俳句の歳時記、いちばん小さいやつでいいから送ってくんない?」と。どうしたの、ときくと、「このごろ新聞で毎日読んでるんだよ、だからさ、おれも作ってみようと思って、文庫でもいいし古本でもいいからさ」と。そんなヤル気を出してくれたのはひっっっさしぶりなので、おとうさんすごーい、おとうさんエラーイ、を連発してその場でワンクリックでAmazonで歳時記を注文したのであった。ほんとは父のところにも、あたしの家にも、ふるい歳時記があるのは知ってるが、それじゃ景気づけにならないだろうと思ってちゃんとしたやつを新品購入にした。

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