馬18
2012年02月10日(金)
今回最後の練習。明日とあさっては障害の試合なので(いつか出たい)お休みなのである。今日はマルコ、やっぱり相性がいいかも。かぷかぷ噛むからとてもカワイイ。ほんとに反動が少なくて乗りやすい。跳ねないから落ち着いて膝や肘や座骨のことを考えていられる。軽速歩、巻き乗り、半巻き、軽速歩、速歩とやって駈歩、先生が腹帯締め直しに来てくれたところで、あー駈歩だなと覚悟した。で、右からの駈歩はうまくいったが、そのあと方向をかえて左からの駈歩はいまいち。先生によると、もう腿の内側の筋肉が疲れてきてるからだそうだ。ズンバで鍛えねば。伊藤さん、マルコに乗るとほんとにウマくみえますね、と先生に言われた。でも、マルコはああ見えてもけっこうむずかしいそうだ。まっすぐ歩かないし、駈歩のときに乗り手が主導権をにぎろうとすると怒って駆けまわるそうだ。伊藤さんは、走ってるとき何もしないでただ任せることができるから、うまくいってるんですよ、と。あたしこそ、あたしがあたしが意識のかたまりなのだが、駈歩中は、マルコの能力のほうがずっと上回るので、あたしが意識は出さずに済んでおる。マルコの反動の少ないのは、アラブの血のせいだそうだ。巻き乗りや半巻きのときは、頭のなかに、つくりたいサイズの円や半円を描いて、それをしんとした心で、イメージするのだ。そしてからだを動かさずに、イメージを念じていくと、馬がそのとおり円を描いてくれる。どこかで見た光景だなと思ったら、岩明均の「七夕の国」の超能力者たちの球のつくり方であった。
馬17
2012年02月09日(木)
エンジェルはおじいさんではなくおばあさんであった。乗馬クラブの馬たちのなかで唯一の「女の子」と先生はいった。そして避妊手術はほどこしていない馬であった。雌馬は避妊せずにずっと生きていくそうだ。去勢してないスタリオンが襲いかかりはしないんですかと聞いたら、そういうふるまいに及ぶスタリオンはいないようにしているから大丈夫と先生は言った。先生によると、馬というのはほんとにセックスが自由にならない、しなくても平気で生きていく動物のようだ。そしてそれはたまたまきのう橙書店で買って読み始めた「哲学者とオオカミ」という本にも、そんなことが、犬について書いてあった。これはすばらしい本である。これを仕入れて棚に置いておいたH子さんはすごい。そっこーでamazon.comで英語のを買って、留守宅の娘に送ってやった。つれあいに読ませたら、オオカミ飼っていいといってくれないかなーとちょっと期待している。いやオオカミがダメならもう一頭ジャーマンシェパードでもいいんだ。 きょうは初めからあまり叱られずに済んだ(エンジェルに)。最初はゆったりとした乗り方で、常歩で、手綱もゆるめて、敷地いっぱいを回るのである。そのときに上半身の柔軟やあぶみを外して足を柔軟にしたり、ないしはあぶみに立ったりして、馬の動きに慣らしておく…のであるが、エンジェルはこのへんからもう気に入らず、ぴりぴりして怒って蹴ったり止まったりするので、きょうは、あぶみをはずして足首を柔軟に、はやらなかった。そしたらあんまり叱られなかった。そのあと敷地いっぱいに軽速歩をしたが、そのときも、あんまり叱られなかった(エンジェルに)。ときどき速度がゆるむのでそのときは頭を前に突き出さず、つねに座骨に集中して、す早く足で蹴って速度を速めさせるのが大切だと、何回も言われた(先生に)。これは前回も前々回も言われた。しかし馬の動きがよくなったら、蹴るよりも締めることで合図を出す、それで、常歩から速歩にすんなりと移行できる、機械じゃないんだからスイッチをいきなり入れるというのではなく、少しの合図で動くことをわかっていなければ、と言われた(先生に)。でもきょうは軽快に軽速歩ができた、とほめられた(先生に)。馬刺したべますか、と先生に聞いたら、食べるそうだ。でも自分からわざわざ買って食べようとは思わないそうだ。しかしこうして、馬に乗りながら馬刺しのことを考えるのは、熊本ならではの葛藤のはず。荒尾競馬の廃止は、馬的にはほんとうに惜しかった。(非熊本県人のためにいっておくと)熊本の藤崎宮で9月にあるお祭も馬が主役である。なのに地名が、馬本でなくて熊本とはコレイカニ。
父とやるせなさと馬飯
2012年02月08日(水)
とはいいながら毎日こんなにうまくいくわけではないのは、馬と同じことだ。きのうは、朝ごはんのあと帰るときに(10時頃)お昼に来れたら来るといい(実は行かないで仕事をしていたい)いちおう12時に電話してみたら(大丈夫だよ、自分でできるよというのを期待して)よれよれの声で今起きたというので、しかたがないからあわてて行ってごはんつくってたべさせようとしたところ(いつもは自分でカップ麺をつくってたべている)ついたらまだ寝ていて「起きたくない、おひるいらない」というので、N田さんにもらったうま飯だけ仕掛けて、帰ってきたところ、15分もしないうちに電話があり「起きちゃったよ」という。ごはんはどうする、自分でできる? というと「うーーーー」といってるので、わかったわかった今すぐ行くから、といって、駆けつけたのであるが、マジで、やるせなさの行き所がなく、車のなかで大声でののしっていたのである。それは、ほんとうに、やるせないとしか表現できないような感情だ。そして10時に帰って、12時にいって、1時前にいってたら、仕事なんかできるわけがないのである。ところで、うま飯、馬入り炊き込み飯だが、好信楽のN田さんがいぜんおみやげにくれて、父がすごく喜んだのを覚えていてくれて、こないだつくりかたといっしょに具を持たせてくれたのだった。今回も父はとても喜んで食べた。馬を食べることについては、ちょっとした葛藤がある。むかしはたべなかった。その頃も馬に乗っていたのだ。で、馬はやめ、ここ数年好信楽に行くようになって食べるようになった。そしてこないだの3日に好信楽にいって、ひさしぶりに馬刺しを食べた(好信楽以外では馬を食べる機会はないし、出てもたべずにいられる)。馬刺しが出てくる前はたべないでおこうと思ったが、やはり食べた。霜降りの肉であった。好信楽もN田さんたちも大好きだが、好信楽の料理はほんとに絶品なのだが、とくに好きなのは野菜料理なんであって、馬刺しは、じつはそこまで好きなわけではない。食べずにいられるのだが、今回は食べた方がいいような気がした。正真正銘のアニミズムだ。で、食べた。エンジェルの不調はもしやそのせいか。いや馬を食べることで、馬のチカラがつくと思いたいじゃないか。
父とポジションバー
2012年02月08日(水)
こないだI牟礼さんちにいったとき、I牟礼さんちに物干し竿みたいなつっかい棒が床から天井に立ててあり、何本もあり、それはI牟礼さんが歩くのにたいへん助かっているというのを観察した。さっそくヘルパー主任のS村さんに電話をかけて、あれはどうかと聞いたらケアマネのH田さんにまわしてくれ、さっそくH田さんが業者さんとモノをもってうちに来てくれた。今回、その話をしたときから父は前向きであった。必要性を感じていたにちがいない。H田さんは父が、このような提案にはいつも反対するので、半信半疑で来たところ、前向きなのでよろこんでくれた。それできょうさっそく取り付けてもらったのである。こたつ前の椅子から食卓に移動する間にたててもらった。あたしの考えでは、台所の前にも1つ、トイレの前にも1つだったが、それは「林の中に住んでんじゃないんだから」という父のことばで却下であった。H田さんはあと、トイレの補助枠と、今すわっている椅子を少し高くするための器具も提案してくれ、それにも父は前向きであった。やはり必然性を感じ取っていたのだろう。で、わたしが帰るとき、「ありがとう、いろいろと心配して考えてくれて」と言った。いや…こういうとこが、父はほんとうにすごいと思う。この言語化する能力、そのすなおさ。
馬16
2012年02月08日(水)
で、とうぜんのことである。あれだけうまく乗れたあとは最低の日がつづいた。きのうはエンジェル、マルコにそっくりなのに、じつに乗りにくい。というか、よく叱ってくれる、いい先生だ。鞍の上ではねるだけで何がなんだかという速歩であった。きょうは久しぶりのプリン、鞍の上でさんざんはねた、以下同文。きのうはいつもの手袋がみあたらず、たまたまみつけた軍手をしていったら、伊藤さん、それならしないほうがましですよ、と先生に言われた。さすがにあたしもこれじゃ乗馬というよりガーデニング中みたいだなと思っていたのである。まだ、きいておもしろく思った先生のことばや経験したことは多々あったが、忘れてしまった。
馬15
2012年02月05日(日)
きょうはマルコポーロ、前回落馬したが、反動が少なくて乗りやすく、また手入れのときに甘噛みしてくるなつっこい馬だ。なんだかこの間から気が合うなあと(落っこちたけど)思っていたところ、今日はウマく乗れて、先生からも、伊藤さん、この馬に乗ってるとウマく見えますね、とほめられてるんだかなんだかわからないほめられかたをされ(それでもほめられたと取るところがあたしの性格なんである)、座骨で「腰を入れる」感じとコブシの位置と肩のやわらかさと膝の内側の筋肉を締める感じとに集中して速歩していたところ、いいです、いいです、その調子、といっていた先生が、きゅうに「かけあしッ」と。あわてたが、すんなりと駈歩に移行することができた。こないだ(だいぶ前だ)駈歩したときは何やってんのかわかんない感じだったので、もっと速歩できちんとコントロールできるようになるまでは駈歩したくないなあと思っていたのだが、やってみたら、こないだよりはずっとスムーズだった。きょうはついでに、巻き乗り(円を描く)半巻き(半円を描いて方向を変える)も、速歩から常歩への移行も、すんなりと。そのときにこっちにいこうと思ってからだや手を動かしてはいけない。頭のなかでただ描くべき円やある速度の速歩をイメージすれば、しぜんと馬がそう動く。微妙にあたしのからだもイメージにしたがって動いているわけで、それを馬が感じとって動いていくそうだ。理論はわかっても、あたしが今ここで習っているのは、テレパシーであるような気がした。腰のうしろの筋肉が弱いから前屈みになりがちだといわれたが、それはまさしく、そこの筋肉が弱いからおなかをぷるぷるさせにくいとズンバの先生に言われたのと同じところだ。
K崎さんと父
2012年02月04日(土)
ヘルパーさんのK崎さんが、転勤するご主人の都合で他県にうつるそうで、父のヘルパーも2月いっぱいでやめねばならぬ。朝食のあとぽつりぽつりと父が言い出した。「なんだかがっくりきちゃうな、こういうのは。きのうはK崎さんが帰った後、テレビを見る気もしなくってぼーっとしてた」と父がいった。ほんとうに、ほんとうに、ショックだと思う。父はK崎さんのことをとっても慕っていたのである。「K崎さんが100円ショップで筆立てを買ってきてくれた、こないだ100円の天眼鏡を買ってきてくれたのもK崎さんだ、K崎さんってね、ちょっとおっちょこちょいなとこがあって、おもしろいんだよ」と。ほかの話をしていても、またふと「K崎さんがね」とK崎さんの話をするのである。あんまりしょんぼりしているので、朝食のあとすぐ帰らずに、いろいろ本の整理とかやっていたら、「おれもう寝る、具合わるいから」とよれよれとベッドに戻っていった。
馬14
2012年02月04日(土)
これ、書かなかったのは忙しかったのもあるけど、寒かったのもあるけど、馬にウマく乗れてなかった日々がつづいたからだ。ロカビリーにはウマく乗れてたのにエンジェルに代わったとたん、叱られまくり。先生にというよりは(それもあるが)エンジェルに。人間にしたら80くらいのおじいさんで、経験豊かで気が短くて偏屈(うちのつれあいそっくり)。で、あたしの何かが気に入らず、とまったり、首をふったり、後足でけりを入れたり、天をあおいでため息をついたり(これはつれあいであった)するのである。先生には、この馬がこんなことするのは伊藤さんだけですよ、と言われちゃうし、そういえば夏にトメがのってたのはいつもこの馬だったし、トメはエンジェルむかつくーと言いながらも乗っていたわけで、トメに乗れてあたしに乗れないなんてそんなばかな、ということは、やっぱりあたしが悪いことはまちがいがない。先生に指摘されたのは「馬の肩にのってる」「膝から下がよけいな動きをしている」等々。寒い日で、小雪の舞いかかるなかで乗ってたから、馬も雪で興奮してるのかと思ったが、つぎの日は何のぞむなくねがふなく、小雪なんか舞ってないのにさらに馬は機嫌がわるく、よごれちまつた悲しみにどうしていいかわからず、しかしそれでも少しずつ習得していくのだ。おとといはダメだったが、きのうは後半、これでいいのかもという速歩ができた。きょうは馬に叱られながらも、座骨を定位置におき、何があっても前に傾かず、両ももを鞍にぴったりと押しつけて、膝から下はないものと思えという言葉を信じて、速歩につぐ速歩、馬が遅くなったり蹴りだしたりしても、動揺せず、ただ速歩を同じペースでつづけることを主眼に、コマンドをつよく出す、まっすぐ座骨ですわりつづける、ができた。で、ちょっとでもおしりが跳ねたなと思うと、ももに集中して締めると、跳ねるのがおさまるのであった。何週間も何ヶ月も前に先生に言われたのに、カラダがぜんぜん理解してなかったことである。
2日と3日
2012年02月04日(土)
2日は「比呂美の部屋」。DenkikanのK寺さん、前からただものじゃないと思っていたが、やっぱりおもしろかった。いつもは学園大でやってるのだが、今回は新しい試みでRKKのロビーでやった。お客さんも80人も来てくれた。みなさん、ありがとう。ついでに、朝日webの企画で朗読を1つさせてもらった。やっぱりお客がいないと、朗読にチカラが入らない。お客の反応みながらかれらの「気」みたいなものにこっちも反応して声も言葉もかわっていくのだ。昼間は同じ企画でI牟礼さんの収録をするというので、あたしも見に行った。「言葉を信じる」のときの朗読はビデオで見た。ナマで見たかったのだ。とてもよかった。インタビューのようすも見ていたが、すばらしかった。 3日は博多、このごろ車じゃなくて新幹線がおもしろいので。冷泉荘という、アパートを改造したような、ちょーおもしろい場所で、九大のF枝さんたちの企画、おまけでライブの万事OK。みなさんありがとう。終わった後ひさしぶりに好信楽にいってN田さんたちと。Aサカさんとも。真夜中過ぎに家に帰りつき、なんだかんだで寝たのは1時すぎてたのに、6時に起き出して7時からの馬に行くのは、さすがに少々つらかったのである。
馬13
2012年02月01日(水)
きのうは軽速歩につぐ軽速歩、きょうは速歩ずっとやって、最後に軽速歩、きのうもきょうも、軽速歩しながら動きにあわせて手を突き出してひっこめるという練習を。リズムをつかむ練習だそうだ。それからあぶみを外して、脚を両足とも上にもちあげる練習を。座骨を確認して定位置をたしかめる練習だそうだが、これがむずかしいのなんの。もちあがらないのである。伊藤さん、もちあげてますか? と先生が聞くけど、あたしは必死で汗かいてもちあげようとしているのである。でも軽速歩は先生にほめられた。しかしほめられると、次の瞬間心がゆるんで形が崩れた。ほめられない方がいいのかもしれないが、ほめられるとうれしいからほめられたいのである。速歩は、反動を頭のてっぺんから抜くこと、おしりをくっつけること、馬の動きに置いて行かれないように膝の内側を鞍に止めつけて膝から下は無いものと思え、と。そんならいっそあぶみを外してしまったら? と先生に提案したら、今の伊藤さんのバランスじゃあぶみ外したらすぐ落ちますよ、と一蹴された。息をしてからだをやわらかくして馬のうごきをよく感じ、ひとつひとつ丁寧に、と。きのう終わったあとで先生が軽速歩をやってるのを見たが、やや前傾でまっすぐで反動が頭のてっぺんから抜けていくのが見えた。馬は下を向いて先生に集中しているのが見えた。
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