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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

草木

2012年06月13日(水)

ポートランドの町は木々で覆われていた。とくに町のどまんなかに木が繁茂しつくした通りがあり、人々が歩くようになっているのだった。しかしそこを歩いても、バラとホスタくらいしか見分けられないのだ。とくに木がわからない。南カリフォルニアには住んで長いから、見慣れぬものも、長年に間にしらべて名前をつきとめ、また自分で名前をつけておる。まったくわからない木や草たちにかこまれるのはほんとに不思議な感じであった。くる途中の路上では、コロガリソウ(これはここにおける帰化植物)、それからマツヨイグサその他の日本に繁茂している北米原産の帰化植物に多くであえるかと思ったが、なんとなく見覚えのあるムギっぽいイネ科ばかりで、あと、カリフォルニアでは侵略的すぎるといって駆除の対象にもなってるという(しかし隣の荒れ地では駆除されていない)エニシダがここをせんどと生えさかり、咲き誇っておった。レンギョウみたいな色、形で、すごいものだった。北カリフォルニア以北はやはり寒冷地のせいで、ヤエザクラの花が残ってるのをみたし、おびただしく咲いていたベリー類はあと一ヶ月もしないと実ができない感じ、あと一ヶ月してまたここに来たら食べほうだいだなあと、あっちでもこっちでも考えた。小さいくさむらにドクダミの一種みたいなのをみつけた。においをかげばよかった。

家からポートランドまで

2012年06月13日(水)

まず家を出て、トーランスのMさんとこにちょっと寄った。ひさしぶりだった。手作りの巻き寿司をおひる用につくっておいてくれた。ありがたかった。それから一路、オークランドを目指したが、LAの北境で山火事が起こり、フリーウエイに迫っていたので、大渋滞のあげくに迂回させられたが、かえってじっくり山火事のすごい様子を見ることができた。オークランドではカノコの家。カノコのおなかはばかばかしく大きくなっていた。若夫婦が、子ども用の小さい服を買い集めたり二人であれこれ相談したりしているようすがういういしかった。それからポートランドにむかったわけだが、なんにもない北カリフォルニアを通りすぎようとしたときに、忽然と、美しい川があらわれ、峡谷があらわれ、それからいきなり雪をかぶったすごい山が右側に、目の前には土のかたまりのような小山が、シャスタ山であった。いかにも「聖地」のような威容であった。でもこのときわれわれは、カスケード連山について何もしらなかったのだ。ポートランドのホテルにはプールがついてることに気づいて、トメと二人で(つかずっと二人)うちの近くにあるターゲット(ダイエーみたいなとこ)に買いに走ったが、これがうちの近くのターゲットとまったく同じ作り、まったく同じ売り場、ひじょうにおかしな感じであった。免許とりたてのトメの運転はどきどきする。

シアトル

2012年06月13日(水)

シアトルにおる。きのうポートランドを出て、ここに来て、きょうバンクーバーにいく。あしたバンクーバー在住のEちゃんにあう。ポートランドもシアトルも、ものすごい植物の繁茂だが、それはものすごい雨量があるかららしい。シアトルのショッピングモールも、共用のかさが店の前に備えつけてあるのには驚いた。こっちの店で借りてあっちの店で返すてなことができる。野山がもっこりと湿りつつ繁茂していて、止めがしきりに、日本みたい日本みたいと叫んでおる。ポートランドで感動だったのは「オレゴン富士」だ。シアトルでは「タコマ富士」が見られるかと思っていたら雨で見られなかった。ポートランドでは山の遠景のあまりの美しさに、その山まで小旅行を試み、じっさい行き帰り四時間ほどで、オレゴン富士とよばれるフッド山の登山口までいった。ものすごかった。帰りがけ、オレゴン富士をうしろにみつつ前方つまり北にもう一つ富士があるのを発見、それはタコマ富士とよばれるレーニア山かと思ったがちがう、アダムズ山だ。その左、つまり西に、数十年前に噴火して団子型になったセント・ヘレンズ山が見えた。この湿気た空気に雪をかぶった山が裾野をひいてあっちにもこっちにもとなると、月が二つ三つ出てるようなSFっぽい感動がある。

飼い犬

2012年06月08日(金)

老犬に手をかまれるというのは、よくあることらしい。自分もしょっちゅうやられているという友人が「あんたもお父さんに手を噛まれていたのかも。あたしも、母に時々、噛まれているのかも」と書いてきた。彼女のところは、認知症のご母堂がいるのである。「飼い犬に手を噛まれる」ということわざのもともとの意味は、親の介護をするということだったんだな。

ぴーちゃんとタケ

2012年06月07日(木)

ぴーちゃんはほんとに感じ悪いのだが、下敷きになる、というか、おしつぶされるのが好きなのだ。それで椅子の背にとまっている小鳥を、上から、あたしのほっぺたでぎゅっと押してやると、うれしそうにつぶされている。そこにいるのを忘れて、つい背伸びでもしようものなら、ものすごい勢いでつっつかれる。タケはクッキーを受け取るとき、間合いの取り加減と力の入れ加減がいよいよわかんなくなっていて、ここのところ毎日がぶりかぶりと噛まれて血が出ている。いくらいっても直らない。馬のようにてのひらに乗せてやればいいかと思ってやってみたが、てのひらまで噛まれるのである。

雨と荒れ地とニコとペリカン

2012年06月05日(火)

きょうはズンバ行けた。雨ともいえないようなものが降っていた。降っていたともいえないようなものだ。しかし車を運転してると前の窓にこまかい滴がびっしりついた。つまり空から落ちてきたもので、それを日本語は「降る」という。ちくしょー妥協するか、てな感じで「降る」「降った」と使っておる。でもないよりゃましだ。荒れ地にはピンクセンブリが今をかぎりと咲きみだれている。この頃ニコだけ連れて、また荒れ地をほっつき歩き出した。タケはすっかりリタイアした。この間までは、それでもなんとかして連れ出そうと、タケ用階段買ったりして、車にのせて荒れ地やその向こうの芝生に連れて行ったが、もうそれもできなくなった。家の入り口の階段をのぼるのもよろけておる。だからタケにはないしょで、熟睡しているときを見計らって、さっと家を出る。ニコはいつもついてくるからいいんだが、問題はタケがけっこうめざとくついてこようとすることだ。そういうときには絶対置いてけぼりにしないで、また出直す。で、まんまと出られたときにはニコを連れて荒れ地にいき、芝生にいき、芝生で棒を投げて遊ぶ。やがてこれにルイが加わるのだなと思うと、うーーむ、おもしろい。こないだはそうやって歩いていたら、一台の車がききーっととまって「この犬をあなたに見せたい」と見知らぬおばさん(でもきっとあたしより年下)が顔を出し「パピヨンとマルチーズのミックスだ」と見せられたのが、パピヨンの耳としっぽを持ち、マルチーズの毛を持つ黒毛の小犬であった。海辺をペリカンの群れが行き来している。ペリカンの学校の季節になったようだ。きょうは車の整備にいったトヨタで(けっこう海のそば)ぼーっとしていたら、5分くらいの間に20羽の群れを二つ見た。ひとつは南へ向かった。直後にもう一つの群れが北へむかうのを見た。同じ群れが忘れ物をして取りにかえったんだろうとトメが言った。

狩り

2012年06月04日(月)

きょうはズンバ休みだった。でもきのうほど痛くはないのだ。日本食屋へおさしみを買いに行って、ついでにBookOffでいろんな本を仕入れてきた。漫画は「アイアムアヒーロー」1と「ネオ・ファウスト」1と2だ。「アイアムアヒーロー」は、あたしと同じ名前の女の子が出てきて、カワイくていい感じの女子高生だから気持ちがいい……ってだけじゃなく、スピリッツのなかで楽しみにしているものの一つだ。はじめから読んでみたらものすごくおもしろい。出だしのカラーが、すごくいいじゃないの!(とタチバナの口調をお借りして)。後期の手塚はやっぱりノビノビしている。描かれてあることの裏にどんなに大きな構想や考えがうずまいていたのか想像できる。キャラがみんなステレオタイプなのも気にならないくらい、ノビノビとしたところがある。未完の描きかけという部分もナマなものを見ちゃってる感じでドキドキする。それから買ったのは1ドルの「大河ドラマ入門」と「草の葉」と「あかい花」と「ロボット」と「月曜物語」と、その多もろもろ。それからきゅうりとししとうとおさしみとカレーと豆腐と白だしと、その他もろもろ。このところ、日本風のカレーが食べたくてしょうがない。何十年も、日本風のカレーはきらいだったし食べなかった。きのうはミツワで「ゴールデンカレー」と「ジャワカレー」買ってきた。

ひさしぶりです

2012年06月03日(日)

ずっと書いてなかった。忘れておったのだ。忘れると忘れるものだ。twitterにもずいぶん行っていない。ネットから遠ざかっていたわけではないのだが。来週から10日ばかりの旅に出るので、仕事をやりだめている。あと3つ。でもまだやらなくていい仕事を先にやってしまって、やらなくちゃいけない仕事にまだ取りかかってない。きょうズンバで左足のふくらはぎを傷めた。足を後ろに出すときに、いつもは気をつけて重心がかからないようにしているのだが、きょうはほかのことに気を取られており、思わずめいっぱい重心をかけてしまって、なんかそのへんの筋肉がぴきーーーっと。少し休んで、二曲くらい飛ばしたあと、またゆるゆると参加したら、なんとかできたようなできなかったような。あしたのズンバは行けないかもしれない。あさってのズンバも行けないかもしれない。しあさってのズンバもどうかわからない。書いてない間に、実はすごく嬉しいことと悲しいことがあった。嬉しいことというのは、昔知っていた人と(電話で)再会したのである。電話でインタビューされていて、実は……といわれて、ええっと驚いたのなんの。忘れずにいてくれた、インタビューしてくれたということがほんとに嬉しかった。悲しいことというのは、某誌編集者のSさんが異動してしまったことである。長い間、待たせて、じらせて、はげまされて、(ぜんぜん書かないから)どうかつもちょこちょこされて、ナニワ金融道の桑田さんと顧客の一人みたいにつきあってきた。親孝行したいときには親はなしということわざを思い出した。ほんとに悲しくてたまらない。

ルイ

2012年05月28日(月)

きょうともだ動物病院の先生から、ルイの写真が送られてきた。夏なので暑がるからということで、丸刈りにしてもらった……もともとは先生の提案である。昔、父がやって、みっともなさにへきえきしたことがあって、あたしは躊躇していたのだが、娘たちがルイのためなんだからというので、とうとう、先生の提案どおりに。しかしそれが、案の定というかなんというか、醜いのなんの。おっさん犬だから顔つきもおっさん臭く、しかもてんかんの後遺症で舌がべろんと垂れさがっており、丸刈りのからだはむちむちすぎ(少しやせたかも)、顔だけ毛がたっぷりと残っている。でもルイはルイなので、見た瞬間、「あっルイだ、かわいい」と思う自分がなさけない。こんなにみっともないと、検疫で入れてくれないんじゃないかと危惧しておる。

おめでとう、実におめでとう。

2012年05月28日(月)

きのうカノコのけっこんしきだった。けっこんしきとひらがなで書きたくなるような、ささやかなしきだったようだ。Kandoteki. Simple de tottemo iikanji. とサラ子から報告がきた。出席者は当人たちと、サラ子とトメ、あと友人の牧師さんとその夫。近所の公園でやって、近所の高級レストランでごはん食べたらしい。facebookを見たら、さっそくP(夫)は名字を変えておった。妻も夫も、つなぎ名前に変えるといっていた。

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