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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

カイガラムシとキリフキ

2012年07月02日(月)

こないだウツボカズラをかっちゃって以来、気をつけてキリフキでキリを吹いている。ここんとこ何年もやってこなかった。ここ数年ほんとに行ったり来たりだったから、家の中の植物の世話がおろそかになっていたのだ。で、キリフキを流しの下の奥のほうからひっぱりだし、せっせと、昔のようにキリを吹いている。ウツボカズラにもアンスにもスパシにも、モンステラにも。このように小マメにやってれば、この頃とんとおみかぎりだった(あたしのほうが)アジアンタムやプライダルベールもOKかも。ここ数年、どうせ手がまわるまいと思うから、葉の厚い、カイガラムシにも強いものばかり買うようになり、またそういうのばかり残っていた。しかしキリフキしながらよく見たら、モンステラ、前は10枚くらいだったのに、20枚くらいに増えている。その上、カイガラムシもついておる。そこでさっそく消毒用アルコールで拭き取ってやる、とおもったら切らしていたので、つれあいの蒸留酒をちょっと借用して、綿棒でカイガラムシをぬぐい取っているそのとき、まだ若い葉をぽきんとおってしまってショックであった。

ニコと荒れ地と荒れ地草ポピー

2012年07月02日(月)

それで、散歩の足りないニコだけ(いやこれだけ小さいんだから、ほんとは必要ないかもしれないが)隣の荒れ地へ散歩に連れ出した。もうすっかり様がわりしていて、ピンクセンブリは跡形もなく、こないだは見なかった荒れ地ポピーがそこここに咲いていた。荒れ地ポピーは黄色いポピーみたいなきれいな花が咲く。2種類あって(私見であるぞよ)「荒れ地(木)ポピー」と「荒れ地(草)ポピー」がある。木ポピーのほうはその名のとおり(ったってあたしがつけたのだが)低木だ。だいぶ前から咲いておる。しらべてみたら本名を「藪ケシ」Bush popyといってほんとにケシ科だった。草ポピーのほうは、くさむらに今、咲き出した。これはなんと、ユリ科であった。本名を「黄色ちょうちょユリ」yellow mariposa lilyといって、茎だけが伸びて葉は見えなくて、花弁が3つしかない大輪の花がてっぺんにつく。荒れ地(草)ポピーとかキャスカ草とか女王花とかは、ピンクセンプリやこのたびの旅でさんざんみたジギタリスみたいに群れて咲くということがなくて、どんなにさかりでも、ここに一つ、あそこに一つ、というふうに咲いている。

下の世話おそるるに足らず

2012年07月02日(月)

父の最後の2日間くらい、立ち上がるのもつらそうになっていて、かかえてトイレにつれていったり、下痢したというからおむつパンツをやぶいて、おしりをきれいにしたりした。母のも、入院したばかりのとき何回かやった。おまるもきれいにした。最後にそういうことをさせてもらって、ほんとによかったと思う。あれを経験して、「たどりついた」「のりこえた」気がした。たかがうんこやおしっこで、不思議なことである。しかしやっぱり、楽しい、すごくやりたいことじゃけっしてない。だから、そんなに何回もしないですんだのも、ありがたいことだった。そしてタケについても、同じことだ。いや、タケは、とにかく今までの14年間、まいにちタケのうんこと向かい合ってきておる。某所で連載中の「犬心」(いぬごころ、と読んでください。音で読むと、よその小説と同じになってしまう)なんて、うんこの話題だらけで、犬のことかいてるのかうんこのことかいてるのかわかんなくなっておる。きのうのブログを読んだ友人たちから、安楽死させないよねえ? というメールがきておるが、し・ま・せ・ん。タケ本人に苦しみがないかぎり、下の世話おそるるに足らずである。

タケとひどい下痢

2012年07月02日(月)

朝ゴハンのときもタケはまだぐったり寝ていて、鼻先にゴハンをよせて、「ほらゴハンだよ」といわないと起きてこなかった。そしてよろよろと起ちあがり、すべりながら台所にきて、食べたけど、やっぱり少しだけ残した。それからまたすぐに部屋に戻って横になったが、状態おこしたままで「う」という顔をしておる。おかしいなと思って見ていると、少しいきんでぶぶぶぶと激しい下痢を。片づけるのはたいへんであった。しっぽの下にもいっぱいついていた。でもなんにもへんなものは食べさせなかったのである。いつもどおりターキーの煮たのとシニア用ぽりぽり。この頃は、晩ゴハンには、いつもと違うものはやらないようにしている。すごくおいしいおかずがあった日には翌朝まで待ってやるようにしている(むかしは夕食のおかずのおいしいところを少し取り分けてタケにやったりしていたものだ、それでうちのメニューはときどきわざとタマネギ抜きだったりしたものだ)(ケーキのたねを混ぜて型に入れた後のボウルやクリームをたてたときのボウルはかならずタケがなめとることになってたものだ)。
お昼すぎに、いつもの朝の散歩に連れ出したところ、また下痢便をてんてんと垂らして歩いた。歩道の上、教会の入り口に、てんてんと。拾うに拾えず、公道なので申しわけなく、いったん2匹を連れて帰ってから(階段のある戸口から入れないような気がして、裏口にまわってそこから家の中に入った。タケはゆっくりゆっくりついてきた)、また紙とキリフキとゴミ袋を持っていってキリフキで湿らせてから、紙でぬぐい取った。南カリフォルニアの日差しは強く、あっという間に半乾きになってしまうのであった。しゃがんでコシコシやっていたらS子が加勢にやってきた。日曜の午後で、教会にも通りにも隣の工事中の分譲地にも、人はいなかった。きょうの散歩はほんとうによろよろしていた。父ならば「歩きたくねえよ」といわれるどころじゃない、「こんなことさせないでくれよ」と懇願されそうな感じである。そんなによろよろしているのに、クッキーをみせるとついてきて、犬のふりして歩いてにおいかいでおしっこしたりするのであった。おしっこしてるとバランスをくずしてへたるのであぶないのであった。どんなにかったるくても、散歩して陽に当てないと筋力は弱るしどんどん衰えが……と思うから毎日クッキーでつって歩かせているのであるが、この衰え方だと、しばらく散歩はさせずに、デッキを歩くだけにしたほうがいいのかもしれない。下痢で体力を消耗するようなのは、父のとおりだ。ぐったりと寝ておる。おなかを見るとしずかに上下しておる。

ズンバとCD

2012年07月02日(月)

前にズンバ仲間のA子さんからもらったズンバのCD、車のなかに再発見して、かけてみたらのれるのれるのれる。踊りながら運転しておる。知らなかったが、今のヒット曲とかラップとかも入ってるそうで、娘たちが、なんでおかあさんがこんなCDもってるの、と驚いておる。ふん、あたしだって。しかし音楽そのものは、なにか(知ってるもの)となにか(知ってるもの)の寄せ合わせが多いような気がする。こないだの旅でトメのiPodに入っていた日本の音楽のことばがほんとにひどかった。きまり文句でできているのだ。トメはそんなに多くもっているわけではないので、いくつかしか聞かなかったが、ほんとにひどかった。英語とかスペイン語はわからないから気にならないだけで、きいてみたらこんなふうなのかもしれない。

夜半のタケ

2012年07月01日(日)

夜半。なんとなく生臭いのでタケを見ると、目を覚まして上体をおこしている。息が荒くて、たまにふうんふうんと言ってるが、苦しそうなわけではない。撫でてやると気持ちよさそうに顔を伸ばす。クッキーをみせて、タケ、トイレいこうと誘ったら、よろよろと立ち上がって、転びそうになりながらついてきた。今日、ベッドから部屋の出口までラグをしいてみた。だからそこは転ばずにすんだが、やはり廊下を歩くときががくがくのよれよれで、ひっくりかえりそうになるのを危機一髪でささえるというのを2、3回くりかえしながら外に出て、おしっこをしてデッキをよろよろとひとまわりして帰ってきた。そして今はまたぐったりと寝ておる。今日、友人のDとお茶していて、タケはスリープさせないのか(安楽死のこと)と聞かれた。

タケとさらなる老い

2012年07月01日(日)

少し前にも、タケが眠っていると生きてるのか死んでるのかわからないと書いたが、このごろはもっと切実に、死んでるんじゃないかと息をひそめて様子をうかがうことが多くなった。死骸により近づいた寝方をしているというより、タケの起居ふるまいがますます死に近くなってるので、ちょっと動かないと、あ、とうとう、と思ってしまうのである。前よりも、あたしの部屋でぐったりと寝たまま過ごしている。立ち上がろうとすると、床がすべるので立ち上がれなくなって、足をひらいたままぺしゃりとへたりこむ。まるで生まれたてのバンビのように、とS子が描写した。こないだはごはん中に、トメがとつぜん立ち上がって走っていったのでなにごとかと思ったら、タケのひーひー声を聞きつけて助けにかけつけたのであった。うまれたてのバンビみたいになって動けないでひーひー泣いていたそうだ。散歩から帰ったときにも、戸口の前の階段をあがるのがむずかしくなっていて、よろける、あるいは落ちる。それで、よろけるのを支えてやる。タケはまるでからだをあたしの脚やゴミ箱や冷蔵庫に投げつけるようにして先へすすむ。こないだは家に帰りついたときに、前庭でリスを追いかけるニコに気を取られていて(障害を飛び越える馬みたいに差低い柵を跳び越えて追いかけていった)はっと気がつくとタケがいない。もしやと思って道に出てみると、家の手前の歩道の段差のところでうち転び、バンビというより父のようにへたりこんでいて、そのまわりを学生が何人かで取り囲んでいた。助けあげにいくとみんなほっとしていた。ニコが表に飛び出しそうになったので、ダウン、と激しく言いつけるとしゅんとしてそこにすわった。これは、スワレじゃなくてフセのコマンドなんだがてきとうに坐るのがニコである。こっちはとっさにタケ用のコマンドを出しただけだ。タケの腰を父みたいに抱え上げながら、「ただ彼女は立ちあがれないだけだから心配ない」というと「why? 」と不審そうにきいてきた(まるであたしが虐待してるかのように)。「彼女はとても年取っているから」というと、おーーーー(納得)と。そもそも、散歩そのものも、よろよろと傾きながら歩くのだ。「かったるくてしょうがねえよ、歩きたくねえよ」という父の声がそこにかぶさってくる。段差のあるところは通れなくなったし、歩道が切れるところはすごく気を使って一歩一歩歩かせるようになった。寝たままうんこをもらしこぼすのは毎日のことになってすっかり慣れてしまった。今朝は少しだけごはんを残した。でも散歩にいくとき、あらやだ残してたのね、といわんばかりにがつがつときれいに食べあげようとしておった。食欲の問題じゃなく、目がわるくなってツブがみえないのと、首がまわらなくなってきれいになめ取れないのが理由らしい。父が、食べながらぼろぼろこぼしていたようなものだな。

蒼ざめて透明な

2012年07月01日(日)

今日、ズンバで、ズンバ友だちのPが、踊ってるときにつかつかと寄ってきて「これあげようと思って」とゴムバンドをくれた。腕につけるやつ。よく子どもがつけているような。「LIGHTEN UP ZUMBA」とかいてあって、ぐるりにピンクの鈴がついていた。しかたがないから腕につけて踊りつづけたが、しゃらしゃら鳴るので、「蒼ざめて透明な真のロマンチックバレエ」を踊ってるような気分であった。で、それ以来ずっと腕につけておる。

Ehnes 読み方はわからない

2012年06月29日(金)

このごろ聞くものがなんにもないというか、持ってるものに飽きてるので、音楽友だちのJフリーかM子さんに聞こうと思っていたところ、こないだのバンクーバーで、つれあいの友人に、カナダ人の音楽家が好きだ、グレングールドにニールヤングにジョニミッチェルにマルクアンドレアムランにkdラングにレナードコーエンに、といってたら、じゃーこれ知ってる? と教えられたのがバイオリンのJames Ehnes、なんて読むのか、なんかいってたけど忘れてしまった、紙に書いてもらったので文字だけ残っておる。それをきのう買ってみた。ちょっと聞いてみたら、ものすごくよかったのだ。ふだん10ドル以上のものは買わない主義なのに19ドルとかの高いのしかないのでえいやっと清水の舞台から飛び降りて、足ひねりついでと思って。バッハのソナタとパルティータである。そしたら、ものすごくいいじゃないの(めしばな刑事タチバナの声をお借りしました)。

たどたどしくひらがなで書く名前

2012年06月29日(金)

で、そうやって頼まれた「かな五十音」をかいたあと、「いとうひろみ」を書いてみた。「い」は「以」で書きやすい。「と」は「止」で将棋の「歩」みたいである。「う」は宇宙の「宇」で(大島弓子の漫画にそういうのがあった、ヒロインの名前が「宇さん」というのだ)手足をのばせる。「ひ」は左側の「ヒ」で収縮し右側の「ヒ」で脱力する。「ろ」、これがあたしの中心だ。おもいっきりやぶれかぶれにカクカクと「口」を二つ、つないでやる。「み」はわけわかんないのでわけわかんないままにほうりだしておく。自分の名前、うまれてこのかた、口にはさんざん出して名乗ってきたし、ハンコも作ったし、おしてきたし、漢字でもローマ字でもいっぱい書いてきた(こっちはサイン文化である)、そもそも漢字のかけなかったときはひらがなで書いていたわけだけど、この今持っている物心がついてから、はじめて、自分に、しみじみと向き合ったという感じがする……(いや、ほんとうは、ずっといつも四六時中向き合っているので、ことばのあやというやつかもしれない)。

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