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オスロまた
2012年10月15日(月)
おとといのスピーチ、穴が入ったら入って出てこられないような出来であった。でも朗読はちゃんとできた。きのうの朗読もちゃんとできた。日本語でも伝わってる感を感じて、全力投入でできたのも、R子さんやMネくんといった日本語のわかる人々の存在もあるが、スピーチのリベンジで必死だったせいもある。 きのうの朝はまた国立ギャラリーにいった。またムンクを見た。こんなにおもしろいとは思わなかった。「病室の死」の女がまうしろに(つまりその部屋のなかの位置)立っている「インゲ 黒と紫の」のインゲだというのに気がついた。「娘と母」にも「橋の上の女の子たち」にも月がポッカリ出ていた。人々の服の緑がすばらしい。キャベツの緑もすばらしい。空の色の赤もすごくすてき。 「木霊草霊」にかきたくて丹念に植物をみておるが、さかりの、いきいきとした、目をひくものはなんにもない。これが忘れかけていた「初冬」というものだった。どんなに色づいている葉も、そういう意味の目のひきかたはしないのだ。みんな静かに、静かに、沈んでいこうとしている。木のなまえがわからないのがもどかしい。広葉の、これからどんどん落葉していく葉の、大きい木が、地面にとどくほど枝を伸ばしている。その枝をにぎってみたら、これから沈んで黙って息を潜めて数ヶ月を生きるのだという覚悟が伝わってきた。
オスロ
2012年10月14日(日)
ごぶさたを…。自己破産を申告したいくらいに忙しかった。父の家の片付けやらしめきりやら講演やらで。で、なんとか逃げ切って、今オスロです。 オスロというとこは食べ物のおいしいところだ、といったら、オスロ在住のR子さんに驚かれぬる。でもほんとに来てからというもの、毎日おいしいものを食べている。きのこのスープやノルウェイ風中華やノルウェイ風カレーやホテルの近所のカフェのクリームパンや。ビールも、文学館で売ってるIPAがすごくおいしい。ユーロいっぱい、家じゅうのをかきあつめて持ってきた。そしたら着いてみたら、ユーロじゃなかった。なんたることだ。でもカード使えるからそれでしのいでおる。きのうは午前中、朝食を買いに出たら、南アの詩人にばったりあって、どこへ行くときいたら、彫刻がいっぱいある公園をみにいくというので、ついていった。彼女(同年配)も同じような性格らしくて走るような早足で歩きつづけて、公園にたどりついたら、すごい量の裸の男女(の像)が。なんにもしらなかったので、戦争のメモリアルかなんかか、話しながら歩き回った。あとで調べたらそうではないらしい。ただ、こういうプロジェクトらしい。でもなんにもしらずに無心で見ておいてすごくよかった。彼女の朗読はとてもよかったし、雑談していてもちょー気に入った人の一人だった。午後はR子さんたちが、国立美術館につれていってくれた。やっぱりムンクすごい。岡田史子の漫画でムンクを最初に知った、16歳くらいだったと思い出した。
ラテン語と中国語
2012年09月24日(月)
「イネ科」はラテン語でPoaceaeという。あるいはGramineae ともいう。Gramineae のほうは意味がわかった。googleの翻訳でも出てきたし、ラテン語辞書(娘が学校で使ったやつをもらった)にものっていたのだ。「草」とか「草におおわれた」とかの意味である。でもPoaceaeのほうがわかんなくてもんもんとした。語幹はPoacかPoaかPoか、わかんないからしらみつぶしに辞書をひいた。で、けっきょくわからないでしばらくもんもんとしたあげく、NにしKふこさんに聞いた。そしたらあっという間に教えてくれた。専門家はすごい。あたしゃあんまりわからなすぎて、頭がとけるかと思った。あたしが知りたかったのは、Poaceaeがイネ科のことを指してはいるが、ことばの意味としてイネを語幹に持ってるかどうかということだったのだ。で、たぶん持ってない、と思っていた。「禾本科」の「禾」についてもしらべていたが、『字通』と『字統』によると「いね」と。もう一冊の漢和辞典は「いね」または「あわ」と。で、wikiで「禾本科」とやって、中文を出したらそのまま「禾本科」となった。「禾」と検索してみたら「あわ」の項にいった。いねの前は、あわが重要穀物であり、周代にいねが入ってきたそうだ。禾の字は垂れさがる穂の象形なんだそうだ。てなことを必死になってしらべていた。『木霊草霊』の話である。
ペソア
2012年09月24日(月)
ああ、2、3日、いやもっと何日も、ペソアのように(@hiratatoshikoのtwitter参照のこと)顔も洗わず、考えつめていたしめきりがやっと終わり、居間に飛び出していって、たむろしていた犬どもや娘どもに、「みなさんに喜びのご報告を」と叫んだのである。ああ、ほっとした。なんでこんなにというくらい、この仕事(図書の「木霊草霊」)はたいへん。考えつめていたといっても、半分くらいはネットやったりバカ映画みたりして遊んでいるのだが、その遊びに自分を追い込まねばならないくらいたいへんなのだ。ペソアなのは、毎日ズンバにいってしとどに汗をかいて、タオルで拭き取らねばならないせいもある。まあ汗で顔をあらってる感じだ、と思えば。さあ今日から顔も洗う。きょうはズンバに行かなかった、なんたることだ。
父の日の夢
2012年09月23日(日)
父の日の前で、どうしようか考えていた。何をあげてもよろこばなかったから、もういいやと考えていた。でもほんとは何かをあげたらうれしかったのかもと考えていた(死んでるような、生きてるような、判然としない)。たまたま入った洋品屋で、なにかを買ったついでに、上のほうのたなにある犬の柄のはんかちを見せてくださいといって、下ろしてもらった。大判のはんかちで、犬柄だった。それと小さめのを買って、靴下も買った。それも犬柄だった。室内履きも買いたかったけどいいのがなかった。「父の足はひどくむくんでいて、なかなかあうのがないんですよ」とお店の人に説明した。トメもいっしょだった。トメに何か買うために、その店に入ったのだ。トメの誕生日だった。小さいものをその店で買ったので、あとはスコッチにした。トメはスコッチが大好きなので(現実ではない)、いつもつれあいに買ってるのを買って、「Kilroy was here」とマジックで書いてやった。トメは知ってる知ってるといいながら、実は知らないのだった。
むきむきとジャパコミ
2012年09月23日(日)
アメコミのヒーローたちを見ていると、なんであんなにむきむきなんだろうと不思議になる。わがジャパコミでは、ああいうのはいないじゃないか。そもそも、ジャパコミが誇るべきパーマン。ただの小学生がへろへろのマントをつけてるだけだった。アトムも子ども体型で、おなかが丸かった。漫画のなかで、考えられるむきむきの豪傑男といえば、ベルセルクのガッツだが、あのむきむき性はむしろ彼の異質さというか奇形性を表しておる。西野新二と三五十五はむきむきだったが、それはそういう部活だからだし、バスケ部のみなさんは背が高くてアスリートなからだをしているが、むきむきじゃない。むきむき性に通じるロボットものはどうかといえば、レイバー乗りと騎手はちっこいのに限るなんていわれて身体的にはじつに貧弱だ。あとは……20世紀の少年たちも、武蔵や小次郎も、よつばのとーちゃんも、棋士のみなさんも、闇金のみなさんも、アイアムアヒーローですらも、いろんな技能はあっても、むきむきじゃない。少年漫画をあんまり読んでないからだけじゃないと思う。青年漫画だけじゃなく、女の漫画にあらわれるりそうの男像はどうかというと、それもまたむきむきからは程遠い。もともとそこまでむきむきがありえない民族的体格のせいか。平安時代の文化が影を落としておるのか。まわりの日系少女たちにきいても、むきむきはちょっとーーと言ってるし。同世代のおばさんたちもそんなものに興味はなさそうだし。でもトメによると、アメリカ人の女の子たちはこぞってそういうのが好きなんだそうだ。わからない。
お知らせ orangeにて
2012年09月23日(日)
あたしのじゃないけど、orangeにて朗読会。 文学隊としては「比呂美の部屋」のRKKからorangeまで徒歩3分なので、みなさんに流れていっていただきたいと……。熊本の土曜の夜が、俳句と詩であふれてゆく!
和合亮一さんによる詩の朗読会 9月29日(土)19時30分〜 会 場:「橙書店」熊本市中央区新市街6−22 TEL:096−355−1276 会 費:1,500円(1ドリンク込み)。 参加要予約(HPよりご予約も可能です)
ここにくわしく書いてあります。 http://www.zakkacafe-orange.com/blog/2012/09/和合亮一%E3%80%80朗読会/
パンパスグラス
2012年09月22日(土)
いまはススキとその類に夢中になっておる。きょう、一帯を走りまわって(車で)パンパスグラスの生態をしらべた。パンパスグラス地図が描けるほどだ。それからHomeDepotに園芸用イネ科をしらべにいき、買いたかったが、買わずに、名前だけかきつけてきた。パンパスグラスは1株もなかった。多いのはチカラシバのなかまとススキの仲間だ。あたしの持ってるInvasive Plantsという本によると、ススキはとてもinvasive(侵略的)なのに、売ってていいのか。パンパスグラスはほんとはススキの仲間じゃなく、シロガネヨシという和名だが、つい、からくりサーカスを思い出す。チカラシバはpennisetumというラテン名で、ペンネンネンネンネンネネムみたいである。更地や宅地の裏のキャニヨンに、大きい株があり、白銀のふさふさした穂がゆれている様子は、じつに見事だった。
お知らせ「詩人の聲」も並べたい
2012年09月22日(土)
10月3日19時から あの子宮のなかにつつみこまれるような感覚の「Star Poets Gallery」で、 「詩人の聲」第831回 予約2700円、当日3000円
この秋あちこちで朗読しますが、国外ばかりなので、日本語が思うように伝わらず、すごくフラストレーションがたまるんです。だからSPGで、いっきにはき出してしまって身軽になったところで諸外国語の間を転戦していこうと思っています。各種お経や親鸞はもちろん、今いちばんのめりこんで書いている「犬心」を読むかも……みなさんの顔をみてからまた考えます。
予約・お問い合わせは Star Poets Gallery〒154-0004世田谷区太子堂1-1-13 佐々木ビル2F-D Tel&fax 03-3422-3049 北十字舎 Tel03-5982-1834 Fax03-5982-1797
お知らせ9月29日「比呂美の部屋」
2012年09月22日(土)
熊本学園大プレゼンツ第7回 「比呂美の部屋」
日時:9月29日(土) 16時30分開場 17時開演 場所:熊本RKK 1Fロビー・アトリウム ゲスト:あざ蓉子さん(俳人・草枕交流館館長)
俳句について、詩人が俳人に 根ほり葉ほり聞きただす。 あざさんはどうやって俳句に入り、どうして抜けられなくなったのか。 俳句とは何か。詩とどうちがうのか。 伝統的な俳句の概説と、現代の俳句の在り方の概説も。
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