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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

観光

2008年07月07日(月)

ベルリン自由大学のEレナさんに連れられて、ポツダム広場からティアガルテンを通ってブランデンブルグ門、まるで往年の鴎外みたいな心持ちでウンターデルリンデンを通り、ボーデ博物館へ行き(鴎外記念館にいきたかったがしまっていた)キリスト教中心の膨大な古美術を見つくして、へろへろになって戻ってきた。Eレナさんは「日本の私小説」について論文をかいてるところで、それについていろいろと情報提供したいと思ったが、あたしなんかよりずっと多く読んで深く考えているのである。
ところで旅に出る前に読み始めて今も読んでいるのが「モンゴル軍のイギリス人使節」という本。「MONGOL」にはまったせいで、昔買ったが読みにくくて途中で放り出してあったこの本を思いだし、書棚から掘り起こしてきた。読みにくかったのはおそらく著者の偏見(ハンガリー人なのでどうしてもヨーロッパから見た見方をしている)のせい。でも今なら読める。モンゴルたすイギリスで、今のあたしにぴったりなのであった。
夜、ひとりでホテル。ホテルからすごく近いベルリンフィルの切符を買おうとしたが買えなかったし、ベルリンでは何もすることがないので(富岡多恵子から声をお借りしました)テレビをつけたら「ジェレマイア・ジョンソン」(邦題は「大いなる勇者」)がちょうどはじまったのである。‥‥ううう、これは、十数年前に見て、感動して、しかし辛くって、しばらく映画を見られなくなってしまったような記念碑的映画なのである、あたしには。しかしきょうのジェレマイア・ジョンソンはドイツ語をしゃべっておる。まるで、クラウス・フォン・エーベルバッハのようだ。しかたがない、見るか。

ベルリン

2008年07月06日(日)

とうとう来ちゃったのだが、なんであたしが旅がきらいかよくわかった。荷造りの過程で、必要なもの(本、衣類、書類)を見落としてないか、強迫神経症的に、きりきりするのである。そのきりきりがとてもつらいので、いつも荷造りを先延ばしにして、寝る時間がなくなって、空港についた時点で、心身ともにぼろぼろになってるのである。それもとてもつらい。今回もつらかった。旅慣れてるはずなのに、どんどんひどくなる。一回一回の小さいトラウマがつみかさなって大きくなってるのかも。トラウマというよりアレルゲンのような気がする。とにかくベルリンだ。人々はぜんぜん太ってない。やはりアメリカというところは、ほんとに不健康なところだとこんな遠くに来てまでしみじみ思った。しかし喫煙者が多く、喉的には、それを避けねばならない。それは不便である。PoesieFestival Berlin2008というので朗読をしたのだが、じつに、つまらなかった。このごろいつもこれだ。ケネディセンターでやったときもこれだった。ノレないのである。時間もないし、2行おきにすっとばしたりしちゃっている。どうせわかんないだろうと思って。今回はそれをやると、いかんと思って、すっとばさないように、ちゃんと読んだ。でもゆっくりしゃべる時間がなく、笑いはとれず、たいへん未消化な感じなのであった。緑は多い。ビールはうまい。出会った人はみなおもしろい。それでよしとするか。PoesieFestivalの管理人さん(若い女)が日本文化のコミックを読んでみたいがよく知らないので‥‥といってるので、漫画評論家としては、Naoki UrasawaのMonsterと、Takehiko InoueのVagabondと、Yasuko AoikeのFrom Eroica with Love(訳はあってるのかどうかしらない)を是非読めとすすめておいた。

ゲルの解体

2008年07月04日(金)

落ち着かない。ゲルの解体といっても荷造りは後回しで、植物の世話ばかりしている。いない間にサンタアナが来たら万事休すだと思うから、外のもので中に入れられるものは中に入れ、植えられるものは植え、吊してあるものは下に降ろして、留守の間、一週間にいっぺん来てもらうように頼んだLシーが水やりしやすいようにしている。鳥たちは全員Gルのところへ連れて行った。Gルは無類の動物好きなので安心である。Dアンが預かってくれるといってたが、Dアンちには猫が3匹いるので生還しないかもしれないと考えた。ニコはBリーのところ。前にもお泊まりさせてもらったし、Bリーにも娘のLセットにもなついているので安心である。気の毒なのはタケで、こういうとき頼めるDリンちには病人がいて、今回は頼めない。そこで近くのペットホテルに預けることにした。タケは、こういうところが大嫌いなのである。わかっている。悪いと思っている。心から、すまないと思っているのである。なんとなく勘づいてるらしく、タケの挙動はこの頃不審である。

矢尽き刀折れ‥‥

2008年07月03日(木)

まだ仕事は残っているが、もう時間切れ。出発の用意をします。いつもはその晩にはじめて、二三時間しか寝ないで空港へ、という感じで日本カリフォルニアを行ったり来たりしてるが、今回は、子どもら全員連れて行くので(みんなとロンドンで落ち合う)、ゲルはたたまねばならず、羊は集めねばならず、子どもらはみんなまとめて、大きい子には荷物を背負わせ、小さい子は負ぶっていかねばならず、いや、以前は負ぶっていったが、この頃あたしはトシなので、もう負ぶうような小さい子はいないのだった‥‥。ああ、まだMONGOLから、頭が離れていかない。そこで夜、子どもらが友人を連れてきて、みんなで映画見るといってるので、じゃーあたしはまたMONGOL見てくるといって、ひとりで夜のショウにいったのである。何が見たかったのか、よくわかった。そしてこの映画は井上靖の「蒼き狼」とかとはぜんぜんちがって、歴史物ではなく、神話物である、ということがわかった。昔、少女のころ、「蒼き狼」は熟読しつくしていたので、出てくるモンゴル武将は味方も敵もみんな名前を知っていた。だから、歴史との接点もあるにはあるが、しかしどの人も、名前なんかどうだっていいように出てきては消える。「蒼き狼」も最初は神話からはじまった。「そのもの蒼き衣をまといて黄金の野に降りたちぬ‥‥」。おっと神話をまちがえた。「蒼き狼となまじろき牝鹿‥‥」だ。とにかく、モンゴルの神話を映画化する、というのが監督の意図であった。そうしてみると、きてれつなストーリー展開も納得できた。そして浅野忠信はじつに愛らしく笑い、歌い、馬に乗り、愛して愛され、戦っていた(みんな、あたしがやりたいこと)。とくに後ろ姿がえもいわれぬうつくしさ。さー、ゲルの解体、解体。

きゃーーーーーーー

2008年07月01日(火)

「MONGOL」見たっっっ。なんにもいいたくないくらい浅野忠信がかっこよかったっっっ。映画は、まあストーリーにむだもあったが、でもおもしろかった。そして浅野忠信がかっこよかった。エンディングはホーミーっぽいロックというか、ロックっぽいホーミーというか。ことばはモンゴル語ともうひとつ何かだった。何かわからなかった。ひたすら浅野忠信がかっこよかった。日本語はぜんぜんしゃべらないのだった。モンゴル語、ぺらぺらであった。子どもがどんどん生まれていた。馬が疾駆していた。草原が波打っていた。

フェア

2008年06月30日(月)

娘は大きいのと小さいのと二人いたはずが、増殖して、大きいのが二人に小さいのが二人になり、小さいといっても思春期で、おっぱいは年長の二人より大きく、とにかくその四人を海につれていったり、迎えにいったり、ごはんたべさせたり、またフェアに連れて行ったり、映画みせたり、忙しい日であった。
今、デルマーで、デルマーカウンティフェア(デルマーの郡祭り‥‥日本語に訳せば)というのをやっている。夏に毎年あるフェア。人混みがきらいなのでいったことがないのである。子どもらの話によると、乗り物があって、豚がいるそうだ。もともとカウンティフェアというのは農業博覧会みたいなもので、農家の人々が、よくできたカボチャやよく育った豚や羊や、おいしいアップルパイを持ち寄って、コンテストをした、というのを読んだ(拙訳「11の声」に出てきたので、いろいろ調べた)けど、ここの、この時期のフェアには豚しかいない、カボチャはない、と子どもらの話である。花火はあがるそうだ。

モンゴルとロビンフッド

2008年06月29日(日)

つれあいが、一足先にロンドンへ。さーーーー、これから一週間思いっきりぐうたらする。近くの映画館で「MONGOL」やってる。見たい。すごく見たい。しかしR(制限あり)なので、子どもはだめかも‥‥と思って調べたら、連れて行ってもだめじゃないかもしれない。「エリザベス」も「ラストサムライ」もみんなRだ。トメは見た。ならば、これだって。
と思いつつ今夜は、ケビン・コスナーの「ロビン・フッド」。やっぱりイギリス旅行の準備のつもり。これは、PG13くらい(か、それ以下)だし、ケビン・コスナーがとっても若かった(アラン・リックマンもすごく若かった)。ちょっとこの人には思い出が‥‥。いえ、会ったことはないし、顔もべつだん好みなわけではない。最近なんてとってもじじくさーと思う。しかしその映画にまつわる思い出がいろいろと。それでどうしても気になるし、映画もよく見ているのであった。とくに「Dances with Wolves」は、最初にアメリカに3か月放浪したとき、ちょうど映画館でやっていて、先住民のことが知りたいのなら、これを見ろ、とみんなに言われ、見に行ったところ、耳から入る英語は何にもわからなかったが、ラコタ語だけわかった(英語の字幕がついてたのでそれを読んだのだ)。すごく感動したのであった。ほぼ10年後のラストサムライも感動したが(ま、同じような話なので)男的には、トム・クルーズよりケビンのほうが、じじくさくても、好ましい。ラストサムライを見ながら、ケビンが、ラストサムライも、1991年当時につくっていてくれたらよかったと何度か考えたものだ。ラストサムライとDances with Wolvesの大きな違いは、後者の白人男がインディアンの中に暮らしていたとはいえ白人女を相手に選んだ同類婚姻譚なのにくらべて、前者は純粋に異類婚姻譚であることだ(後者が平原インディアン、前者が日本という違いもあるけど、まあそれはおいといて)。その点では、前者に、とてもひかれた。

買い物とお習字

2008年06月28日(土)

トメと服の買い物に行った。「一度でいいから、ティピカルなアメリカ人の女の子みたいに友だちと買い物にいって、両手にいっぱい買った袋をさげて帰ってきたい」とトメがいった。きょうはトメのためにジーンズを2本と、たいへん趣味の悪いタンクトップを2つ、買って、片手にいっぱいの袋になった。夢のとーり。でもトメの趣味悪すぎ。「これは?」と持ってくるのは、キンキラキンキラしてるのやど青や全身丸出しのや。そういうのは買わないけど。夕方は日本人学校にいき、夏休みのために数少ない子どもたち(8人)にお習字をおしえた。
病人は歩けるようになって、自分の家に帰っていった。

ケーキ屋と古着屋とディナー

2008年06月28日(土)

きのうは4回分の身の上相談を終わらせたのでほっとして(イギリスにいってる間のため仕事)サラ子をつれてケーキ屋にくりだし(でも近所のケーキ屋はいまいちであった)、古着屋によって、いろんなものを買い込んだ。夜はDアンちでディナーパーティーであった。Mシもやっと回復途上にあり、出てきたので、それを祝って、豚の足の煮込み、舌の煮込み、ソーセージなどであった。それをまた、やっと歩けるくらいの病人あがりがよく食べるのである。

ブログの更新とサンタアナ

2008年06月27日(金)

このブログをずっと更新してない、という夢を見た。こないだのむやみに暑かった日々は、サンタアナではなくただの熱波だそうだ。サンタアナなら沙漠からの風が吹くが、吹かなかったと土地の古老(夫)がいっていた。

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