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ナショナルモール

2014年04月17日(木)

ワシントンの町には、ナショナルモールなる大広場があって、国会議事堂からワシントン記念碑まで、まるまる見渡せる広大な芝生の大通りで、両側に豪壮な壮大な荘厳な建物がうち並び、それがスミソニアン博物館や国立ギャラリーや先住民博物館や歴史博物館や植物園などである。まず連想したのは、ウンター・デン・リンデンと博物館島。つくりがまったく同じで、豪壮さもよく似ている。俺様な感じも似ているし、虚勢張った感じもよく似ている。ロンドンのサウスケンジントンやトラファルガー広場のあたりともよく似ているが、ロンドンはもっと狭くてごちゃごちゃとある。もうすでに古いものがいっぱいあったから場所が取れなかったようだ。万博(1862)のあたりでいろんなものが揃えられるが、古いものはもっと古い。100年くらい古い、つまり18世紀に作りはじめられた印象。で、ベルリンはロンドンより少し新しい。20世紀にかかっているのもあって、鴎外のいたときには半分くらいはできてたが、あと半分はその後だ。そしてアメリカのはさらに新しい。広くて大きくて古めかしくて19世紀ヨーロッパの威勢をかたどっているけど、たいていのものは20世紀になってから作られている。ついこないだできたのもある。
ナショナル・モールも、ウンター・デン・リンデンも、規模は小さいがキューの庭園も、建物を目指して遠くから道が参道みたいにながながとひらけている、両側に木立がある、という構成になっている。ゴシックな教会の作りを、屋根を取り去って空の下に広げたみたいにも見える。
植物園はベルリンやキューよりずいぶんコンパクトであったし、中でへんな音楽を流してるとこがダサかった。あたしの植物好きは知れ渡っているので、もっと見ててもいいよとPたちに言われたが、やっぱベルリンとキューをじっくり見ちゃったので、植物園をみたい欲望はすっかりおさまっていて、一階のランの展示だけ見た。スミソニアンには松本喜三郎の生き人形が何体もあるはずだ。これはいつか見てみたい。
国立ギャラリーではつれあいの希望でセザンヌを中心に(神様だそうだ)。つれあいと絵をみるのはほんとーに嫌い。テイトでつれあいがいなくてほんとによかった。たまには一緒に見るかと思ってそばに行くと、セザンヌ、神様なのに文句たらたらでうっとうしかったから、すぐ離れた。あたしが離れても、Pは果敢につれあいのそばに行っておった。つきあいが長いからさすがに慣れてるのもしれない。
孝行息子のPが軽便な車いすを用意しておいてくれたので、つれあいはそれに乗ってどこまででも行けた。この町の車いすOKさはマジですごい。

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