中沢けい公式サイト 豆畑の友
ホーム プロフィール・著作リスト 中沢けいへの100の質問 中沢けいコラム「豆の葉」 お問い合わせ
伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

友人の家に行く

2014年03月31日(月)

起きたら11時、よく寝た。同じヨーロッパでもベルリンとロンドンはこんなに違う。同居人がいるだけで、うちにいる気分なのかもしれない。12時につれあいの古い友人のうちにお昼に。美術評論家と美術史家の夫婦で、絵に描いたようなロンドンの郊外の古い横並びの家の一軒に、絵に描いたようなイギリスの美術家らしいインテリアで、絵に描いたようなイギリスっぽい室内植物とともに住んでいる。夫はイギリスっぽいユーモアにあふれた人で、紳士とか殿方とか言いたくなるようなたたずまいの人で、上品な可笑しいことをイギリスっぽくいつも言っており、イギリスっぽいユーモアのあふれた漫画みたいなイラストを絵に描いている。ついてすぐ、奥さんの評論家が「つげ義春」特集の「芸術新潮」を持ってきて、この漫画家はなんだと聞かれ、ロボット漫画について説明しろといわれ(何かに使うらしい)日本のロボット漫画には、自立ロボット漫画と人が操縦する他立ロボット漫画の二種があり、意識を持って自立する方はアトムから始まってPlutoにつながり、人が操縦する方は、鉄人28号から始まって、武器的なガンダム、農機的なパトレイバーとさまざまな進化を遂げ……などと持論を展開したのであったがわかったかどうか。この人は子どもの頃ポーランドから、まるで「ペインテット・バード」か「悪童日記」かという経験をしながら逃げてきた人で、彼女を探し出したイギリス在住のおじさん夫婦のどちらかが、A・ジャリの「ユビュ王」のイラストを描いた人だった。「ジャリおじさん」の元ネタになってるあの絵である。評論家がつれあいの若い頃の資料をいっぱい集めているので見せてもらった。若い頃の写真が何枚もあった。性格がわるそうだった。これじゃ人とうまくいかなくてこっちの社会おん出てしまうだろうなあという写真の中の笑顔であった。Sohoの家に帰ってきてしばらくしたら熊本文学隊のNさん来訪。三人で少し話して、疲れ果てたつれあいを置いて、Nさんとあたしだけ外に食事に出た。

↓前の日記 / 次の日記↑

   
談話室 リンク集「豆の茎」 メルマガ「豆蔵通信」 サイトマップ