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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

知らないとこを

2013年12月09日(月)

こないだBonnに行くとき、さんざん迷ってまごついて、ポツダム広場と中央駅は案外近いということを知ったが、昨日、Bonnから帰るとき、REなんとかという中央線みたいな電車に、東京駅みたいな中央駅から乗って、銀座みたいなポツダム広場に行こうとしたわけだが、中央駅からポツダム広場まではほんの2分だった。REの停車場から迷いつつ外に出たら、こないだ迷いつつベルリンフィルから戻りついたあたりに出て、そのときマーモクーヘンを買ったスタバみたいなコーヒーショップ(誰か文豪の名前を冠したとこだと思っていたらBalzac cafeだった、その前にBと待ち合わせたカフェはEinstein Cafeで、Einsteinといえばカリフォルニアではベーグル屋なのである)のまん前に行き当たり、同じくマーモクーヘンを買い求めたが、マーモクーヘンくださいと言うのを聞いて、お店の女の子はマーモブレッドと言い直した。そのとなりに陳列してあるのはバナナブレッドであった。これはこないだ買おうとして、なんだそれじゃあまりにアメリカ的と思ってやめたのだった。これもまたアメリカ化か。英語をしゃべる外人に親切に言ってるのか。こうして、知らないとこを(知らないのはあたしだけで、まわりを行く人々はみんな熟知しているのであるが)歩き回ってつまらないことをいっぱい知る。道を聞くのには、女連れの若い男がいちばんいいということも知った。
そういえば、ボン行きの電車に乗る前、駅で、パンを二つ買い求めた。一つはベルリナーとよばれるドーナツ(真ん中に穴のあいてないタイプ、ミスドのなら中にカスタードやチョコクリームがつまっているやつ)ともう一つはあきらかに上にカスタードクリームののったデニッシュ風。よく見ればそこには「Puddingなんとか」と書いてあり、上に乗ってるのはまあそういうものだと知れた。ベルリナーは、(ケネディが来独して「わたしもベルリンっ子だ」みたいなことを言おうとしてBerlinerということばを使った、というので有名なものであるが)なんといってもポーランド名物のポンチクにうり二つなので、機会があれば食べるようにしておる。しかしあの懐かしのポンチク(複数形ならポンチキ)に勝るベルリナーにであったことがない。プディングデニッシュは、プディングのところが大げさすぎた。しかしまあ日本のクリームパンのクリームを大げさに作り替えたら、ああならなくもないという味だった(にゃーこに負けないように、一所懸命レポートしている)。
きのう下宿に帰りついたら、部屋が掃除してあった。いつものとおり散らかしてあったので恥ずかしかった。ゴミも捨ててあった。シーツも取り替えてあった。そういう取り決めと見える。そしたら今晩、下宿のおばさん(といっても同世代)がやってきて、姿がみえないからどうしているか心配していた、どう暮らしているか、と訊かれた。とっても快適、と答えた。もうクリスマスマーケットはいったか、慣れたかと訊くので、いろんなとこのに何回もいった、とても慣れた、地下鉄にもいっぱい乗ってる、と答えた。洗濯があれば出せ、やってあげるからといってくれたが、洗濯、てきとうに水洗いして(ズンバで汗まみれになる)あとは洗濯しないでカリフォルニアに持って帰るつもりだった。そもそも着替えもろくにしてない。

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