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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

漢である ズンバと観察

2013年01月13日(日)

(つづき)しかし、あたしらは漢(おばさん、と読んでください)である。自分らがCのような未熟者だったときのことはよく覚えている。口には出さねど、一人一人の顔にそんな感慨が浮かんでいるのも見て取れた。だから、みんな、とりあえずとても礼儀正しく、Cを受け入れ、一曲終わるごとに拍手なんかして、Cをねぎらいつつ、腰をまわしておったのである。
きょうあたしは少し遅れた。無意識のうちに、いこうかいくまいかためらいがあったと見える。Cを軽んじる気持ちがあったと見える。漢として、恥ずべきことである。で、2分くらい遅れていったら、いつもの場所はもう取られていた。それは前から2番目のいちばん端っこなのである。それで前から4列目、ほとんど最後列に近かった。でもそれだから全体がよく見渡せた。80人はいるだろうと思われるクラスである。Mのときはもっと多い。なかに二人ほど、もう長くやってるのに手足の動かし方がむちゃくちゃな人がいる。まったく人と揃うということができていない。右も左もあったもんじゃなく、手も足もばらばらである。でも本人たちは一所懸命なのが見てとれる。数人、動いているつもりで動いてない人がいる。それは、やや、というか、かなり高齢な人たちで、熱心に毎回来るし、本人はちゃんと動いているつもりで、汗を拭いたり水を飲んだりしている。あの動きで汗をかくのかということが不思議だったが、あるとき、中の1人が、ズンバに来るようになってずいぶん引き締まったと実際に汗をかいてあたしに言った。でも証言してもいいが、彼女は、どうして?というくらい動いてないのである。人の動きが見えてないのか、自分の肉体が思うように動かないのか。そういうのも観察しているとほんとにおもしろい。

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