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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

ルイとオオカミ

2012年07月27日(金)

ルイの挙止がなんとなく父に似ている。しかも死ぬちょっと前の父。のりうつったのかもしれないなあと思いつつ、散歩にいき、ごはんをやり、ときどき話しかけ、なでさすり、いっしょに寝ておる。おじいちゃんがのりうつったか? ときいても、ちょっと卑屈っぽい、疑い深そうな、でもほんとはそういうネガティブなことは考えてない、ただ上目づかいになるからそう見えるだけの表情で、こっちを見る。そもそも「飼い主」とはなにかという定義が、ニコやタケとぜんぜんちがう。うちのふたりは、なにか問題があったら、飼い主のところへ戻る、飼い主にたのむ、がまず解決の方法であったが、ルイは、長年、頼りにならないおじいさんと暮らしていたので、自分で解決する、が身に染みついているようだ。以前みた犬についての番組で、犬とオオカミの違いを実験していた。問題が解決できないとき、犬は飼い主に頼り、オオカミはなんとか自力解決しようとしていた。ああいう違いかも。じゃールイはオオカミみたいかといえば、ぜんぜんそんなことはない。丸くて好々爺っぽいが、実は偏屈ですけべな(こないだ10か月の雌犬と遊ばせようとしたが、むこうは遊ぶまんまんだったのにルイは見向きもしなかった。すけべそうに見えるだけでほんとはまったく関心がない)頭だけはよさそうな犬である。土手の上の一本道を、あたしの存在なんか気にせずにとことことことこ、あっちにひっかかりこっちにひっかかりしながら、あたしを見失ってもタケやニコみたいにあわてふためかず、悠長に歩いておる。昔、土手の上をたぬきが歩いて行くのを見た。どこかの散歩する人のあとをついていくように歩いていたが、たぬきだった。その歩き方とそっくりだ。体力もないらしく、ときどきよろよろする。歩きたくなさそうにあたしを上目づかいで見る。

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