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       大石犬 
        2011年12月12日(月) 
         昔むかし、高校の裏手に、一匹の犬がいた。その名も「大石犬(おおいしいぬ)」。体育の大石先生にそっくりだとうわさになり、世界七不思議の一みたいな感じで広まっていき、「大石犬、またいた」「大石犬、見た」というのが朝の挨拶になり、とうとうあたしもおそるおそる見に行った。そしたら驚いたのなんの、あのときの「ぎょっ」は一生忘れられない。大石先生の顔をそのまま犬のからだにはめこんだような、茶色くてむくむくした犬が、つながれて道端にねそべっていたのである。そんなものは見たことがなかった。何かの呪いと思われた。大石先生、若めの(というのは、体育のもう一人の先生はベルリンオリンピックに出たという80歳くらいの老人だったから)先生で、おだやかでおもしろくて好かれていた。犬に顔をうつされるようなことをしたとは思えなかった。まるで楳図かずおか古賀新一の世界だと思った。何年かのち、もう少しものをわかってきた頃、チャウチャウの写真を見て、大石犬じゃん、と思ったときの驚きもまた忘れられない。つまり、あれはただのチャウチャウで、無知な高校生はそれを知らなかった。あたしだけじゃなくみんな知らずに、ただ驚いていたのである。てなことをふと今朝、チャウチャウをみかけて思いだし、「あのころ先生がいた」に書きゃよかったと思ったが、あとの祭りであった。 
        
      
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