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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

園芸家と犬

2011年06月11日(土)

おとといナスタチウムを根こそぎしたのは締切からの逃避だった。きょうのは書いたものを忘れ去りたいがためである。だから必死だった。必死になって根こそぎしたら、ぽっかんと場所があいてしまった。そこに、この春は(去年も、その前も)植えた覚えのないオキザリスだカモミールだカリフォルニアポピーだと、きれいな花が満開になり、最終的にナスタチウムがおおいかぶさっていったのである。きょうは植えるつもりで、買ってきた、買ってきた、買ってきた、透明な小バラや、花咲くセージや、色つきカラーや、メキシコ色のマリーゴールドや、しぶといニチニチソウや、昔なつかしクレオメや、半日陰の青色ビンカや。植えても植えてもぽかんとあいてるので、とうとうレモンの小さい木を植え込んだ。食べられるものを植えるのはあたしの主義に反するのだが、レモンの花が、昔親しんだ柿の花みたいで、つい惹かれたのである。ああ、ふしぶしが、ぐきぐきいっておる。働いている間じゅう、ニコがそばにすわって見ていてくれた。しかし今考えたら、節操のない植え方をしてしまったように思えて後悔しておる。まじで節操がない。しかしもう植え直す気力が残ってない。

父の機嫌とナスターシャム

2011年06月09日(木)

父の機嫌はまだ悪い。きょうは前庭のナスタチウムを取り除いた。実はもうだいぶ取り払ってあり、少しだけ残って、地肌が出ていたのだが、その地肌が、地肌が見えてるなんてものじゃなく、あちこちが盛り上がっていて、どう見てもゴーファーなる妖怪が棲みついているのである。そこをずかずか踏み込んでみれば、案の定、落とし穴があちこちにあり、足がずぼずぼ穴に落ちていくのであった。ゴーファーというより、ロケット団が潜んでいるかのようだった。こないだまできれいだったナスタチウムが見るも無惨にしなび枯れておる。でも蔓を引き抜くたびにばらばらと種がおちた。こうして来年もまたナスタチウムが日本の夏のヤブガラシやクズのようにはびこるのだ。あたしはユリが好きで、毎年性懲りもなく植えるのだが、毎年ゴーファーに食われている。駆逐したいが殺生は気が進まない。とはいっても、家の中のねずみは、電気ねずみ取りで殺している。きれいごとは言うまい。死んだねずみは、前庭のゼラニウムの繁みに落としたら(ずぼっと落ちた)そのままちっとも臭わずに分解されてゼラニウムをさらに咲かせた。
暮れに植えたトヨンはついたようで、ようやく花が咲いておる。でも1月に植えた山ライラックは姿もかたちもなくなった。2月に植えたテイカカズラも、挿し芽をしておいたクジャクサボテンも、なんとなくついたようだ。

父の不満

2011年06月08日(水)

きようは散々であった。ここのところ電話の調子が悪く、父のところに、二三日電話していない。それで向こうからかけてきていた。そしたら今日はものすごく不満そうに「たまにはそっちからかけてくれよ」と言われた。じつは今、スカイプのヘッドフォンも調子が悪くて、スカイプからもかけられない。あちこちいじっていれば直せるのだが、父はすぐ切ってしまうので直す時間がない。一昨日は直そうとして、「ガマンして受話器をきいていてくれる?」と頼んだが、やはり声が聞こえないと辛抱できなくなって切ってしまうのであった。電話できないんだからしょうがないなあと思って、ここ二三日、のうのうとしていたのは事実である。やはり「かけなくちゃ」と思わずに済むと、気が楽なのである。きのうはネットできしめんと冷凍のかきを送ったのだが、それを言うとたいへん不満そうな声で「取りに行くのがつらいからそんなもの送らないでくれよ」と言われた。ほかにも本をいろいろと(あたしの)注文してあったので、それを言うと、さらに機嫌が悪くなった。ものすごくむかつくのだが、顔に出さないし(出したって見えないし)声にも出さないで、はいはいと聞いておる。

タケとサッカー

2011年06月06日(月)

またタケのことだが。今日久しぶりにサッカーやりに連れて行ったら、喜んでテニスボールくわえて(サッカーボールにかみつかないためのストッパー)ボールを追うのだが、以前は、年なのに元気だ、といつも思ったものだが、つまりそれほど走ったものだが、今日は、ボールをやりとりするトメとあたしの間で、あ、右さん、あ、左さん、という具合にウロウロしているだけなのに気がついた。実はこないだからそうだったような気がする。日本に行く前も、こんな感じだったような気がする。日本に行く前は、隣の公園を全行程歩きとおせた。でもやっとこさだった。帰りがのぼりになるからだ。それで、毎日、全行程というわけではなく、ときどき坂の下までおりなかったり、公園の向こう側に車をとめて(そうすると坂をのぼりおりしなくてすむ)坂の下を歩いたりしていた。それが13歳の誕生日の前後だ。あれから一ヵ月くらいが経つ。犬の1年は7歳とよく言うが、ということは、タケの肉体の上には、もう2年弱が経ってしまったということか。

ながらくのごぶさたでした

2011年06月05日(日)

ときどき隠遁したくなる。俊寛とか。ロビンソンクルーソーとか。マウンテンマンとか。大草原の小さな家とか。人なつっこい性格なのでそうなりきれずにいる。そういうわけで、このように、ときどきふっと書かなくなる。そして戻る。そもそも生まれ育った東京を離れ離れて熊本に移り住み、さらにそこから奥地へと入り込み、カリフォルニアくんだりまで来ちゃった身としては、ここはいちおうの市街地だけど、マウンテンマンのような気分なのだ。あたりに人語(つか、日本語)を解する人はいないし。書かない間、いろんなことがあった。日本に行って帰った。梅雨に入りかけであった。いろんな人に会った。朗読した。いろんなところへ行き、人としゃべり、いろんなものを聞いたし、読んだ。心の中にしまっておく。いつか話す。

22日は朗読します

2011年05月18日(水)

つぎは
5月22日2時から 天童大人企画「詩人の聲 第636回」西荻数寄和。 今回はちょっとかなり趣向を凝らす。なにをやるかは見てのお楽しみ。
おねだんは高いが(2800,予約で2500 学割あり)損は絶対させません。

21日比呂美の部屋学園ライブ

2011年05月18日(水)

しめきりがあったしJフリーはいたし日系人として朗読してたしそれからS子の大学の卒業式などにいったりもしていたし、ゲルも解体していたりしていたのである。で、気がついたら、2歩名国内のイベントと朗読会の告知をまだぜんぜんしてなかったのであるううううう。
まず5月21日10時から(ちっ早いぜ)
熊本市の熊本学園大学で、「比呂美の部屋」学園ライブ。お相手は小野由起子。ちょーおもしろい某新聞の文化部記者で、ジツは熊本文学隊の要だったが、荒尾支局に異動したとたん、地方競馬である「荒尾競馬」にはまってしまった。会うたびにその話をしてくれるが、やたらとおもしろいので、いっそまとめてきちんと話してもらおうと思った。
無料です。きてください。ネットストリームもあり。

Jフリーと日系人

2011年05月07日(土)

Jフリーが来ておる。きのうは韓国風手巻き寿司であった。きょうは二人で朝もはよからアジア系アメリカ人大会に行く。ほかの出席者はみんなアジア系アメリカ人で、実はあたしら二人だけ、びみょうにその資格がないような気がするのだが、OKなようだ。とりあえず最近かいてる「日系人の現在」という連作をプリントアウトして持って行くことにした。Jフリーもちゃっちゃっと翻訳してくれた。出席者のなかであたしがいちばん英語が不自由なはず。それにはちょっと臆している。

友人と涅槃経

2011年05月05日(木)

このところずっと教行信証を、それから涅槃経を読んでいたのだ。死を、どう考えおさめたらいいのかということにかんして(別にそれについて考えながら読んでいたわけではないのだが)涅槃経も、親鸞も、どうも役に立たないのである。というよりぜんぜん違う方向を見ているのだということに気がついた。蓮如とか、そのへんまで下らないといけないのかもしれない。おととい、とつぜん友人T濱さんの夫が亡くなった。ほんとにとつぜんなことであった。T濱さんといつもいっしょに遊んでいるOさんやT沢さんから連絡が入ってきた。女友だち同士の心のこもった緊密なやりとりがつづいている。そしてずっとT濱さんのことを考えている。

「ゆく春や」

2011年05月04日(水)

知らない間に日本はゴールデンウイークで、日本とのメールのやりとりが個人的なものをのぞいてぱたりと途絶えた。あたしは、カノコやらつれあいやら中原中也やらちゅんすけやら、誕生日がかさなっていて忙しかった。きのうおとといはものすごいサンタアナで、すべて乾き上がり、あたしはその中で庭にあじさいやら何やらを植えてしまったので、水を、貴重な水をやりまくっていた。きょうは少しましである。サンタアナをどうしのいだかと思って荒れ地に行くと、れいのピンク花が「ゆく春や」という風情で咲きみだれておった。しかしあとのものたちは極小マツヨイも、極々小マツヨイも、アカイヌノフグリも、みんなしおたれておった。

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