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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

Uの「ごはん」

2014年09月10日(水)

土曜日の午後と日曜日は学会さぼって(というか、あたしはただの付き添いで、もともと出る義理もなんにもないので)あたしはUと遊びにいってたのだ。Uは2歳2ヶ月で、少ししゃべれるようになっている。こないだ会ったときはまだ「ばーば」が言えなかった。今は言える。いきなり入っていって驚かしたので、「ばーば」と言いながら(つまりあたしをあたしと認識したのだが)泣いた。でもしだいに慣れてきて、出かけるときは「ばーば、しゅー」といって靴を持ってきてくれたし、いろんなおもちゃたちの話もしてくれた。してくれるが、だいたいは親に通訳してもらわないとわからないのである。「ばいきんまん」ははっきり言えて、あんぱんまんの本を何回も持ってきた。それはトメのお古の本だ。「ことばあそびうた」の詩を読んでやると爆笑する、と母親カノコはいってたが、あたしにはくりかえし「ばいきんまん」といいながらあんぱんまんの本を持ってきた。「むーん」が好きで、描いてもらいたがるが、描くとすぐ「くらうど」といって上をぬりつぶす(磁石で絵がかけて消せるおもちゃ使用中)。「さん」というから太陽を描くと、また「くらうど」といってぬりつぶす。レストランに行ったときには子供用いすにすわるや、ウエイトレスのほうを見て、はっきりした日本語で、たぶん本人は日本語とも気づかずに、「ごはん? ごはん?」といっていた(イタリアンの店だった)。そういえばトメが4、5歳の頃、スシ屋につれていったら(カリフォルニアで)ふだんは英語スピーカーなのに、いきなり「すいませーん、たまごくださーい」と注文していたことを思いだした。帰ると、雲ひとつない夜空にいい月が出ていて、Uは地面にすわって月見をはじめ、「まましっだうん」みたいなことをいって母親をすわらせ、「ばーばしっだうん」とあたしをすわらせた。

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