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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

スコットランドからイングランドに

2014年04月13日(日)

今回のスコットランド旅では前回(20年以上前になる)の旅で驚嘆したようなものすごい風景は見られなかった。グラスゴーの周辺、そしてグラスゴーからイングランドに下っていく道すじでは、なだらかな耕作地がつづいていただけだ。それはそれで実に美しい。前回はことばができなかったからスコットランド弁に驚きおののくひまもなく、ただただ風景に感動していたのかもしれない。今回はスコットランド弁のすごさにいちいち感動しているだけで時が過ぎた。
グラスゴーから南下したが、道路工事に高速が渋滞し、その上ナビが壊れて(使用科が一日3000円くらいするのである)ひどい目にあった。「ハドリアヌスの壁」にいく途中だった。「ハンディキャップ ハドリアヌスの壁」で検索してちゃんとどこにいって何をすればいいか調べ尽くしたあった。ところがナビが壊れてわけがわからなくなり、あたしのメモと道標を頼りにたどりついたのが見張り台みたいなところで、すばらしいイングランドの眺めがひろがる小高いところだった。たとかに壁みたいのがあり、見張り台の遺跡みたいのもあり、「ここはハドリアヌスの壁のいちばんよい眺め」みたいなことも書いてあったので、まあ、見たことにした(あとで地図をみたら、そこから東にいけばもっと見られたはず)。つれあいはせっかくの絶景にたどりついたというのに、おしっこして(年寄りはおしっこが近い)車の中にもどっただけだ。
Wemに行く時間もせまっていたので、そのまま南下し、とちゅうで大きい地図を買い求めて、Wemにたどりついた。ここにたどり着くまでの風景はこれまた絶景のイギリスの田園風景だった。ロードキル(路上で死んでいる動物)はアメリカとはちがって、キジ、ハリネズミ、そしてウサギ。もう一体、アナグマかなあというのを見た。生きてる大きなタカも見た。Wemにはつれあいの娘の家族が住んでいる。だからここの町には何度も来たことがある。ここの人たちもなまっているが、今回はよくわかった。田舎の風景のかわらなさには驚く。たぶん何百年も大筋のところは変わらないのだと思う。新しいものをとりいれなくちゃという焦りもないようだ。だからあいかわらずの石と煉瓦と木なんである。チープなプラ素材を使ってないだけで、風景が美しい。ほかと違う色や形が風景にまじってないだけで、美しい。町に入ると今ふうに小汚くなるが、熊本周辺の小汚さとはスケールが違う(熊本のほうがすさまじい)。ただ、イングランドの道の要所要所にかならずあるラウンドアバウト(日本語ではロータリーというのかな?)最初はおもしろいのだが、やがていやになってくる。これが最良の方法なんだろうが、とめどなく続くから、イギリス文化の頑固さを見せつけられているような感じ、イギリス人の車の運転はアメリカ人よりずっと感じ悪い。(たいていの)アメリカ人たちの他者に親切で弱者を大切にするところは、国外に来るとほんとに身にしみる。それが国になるとなんであんなに横暴になっちゃうのか。

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