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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

Tesco に買い物

2014年04月01日(火)

ちょっとスーパーまで買い物に行った。パンとかオレンジジュースとか。爪切り買ってきてくれとたのまれたが、スーパーのTescoになくて、それを探しに、さらに向こうの、Oxford streetまで行ったのだが、歩き回りながらつらつら考えた。
横断歩道に信号のないところが多々ある。車道側には信号がついてるからドライバーはそれを見て停まる。歩行者はそれを見て判断するという仕組みだ。小学校に入ったとき、父に横断歩道の渡りかたを確認され、「むこうのしんごうがあかになったらわたる」と言ったところ、叱責されて、手を引いて学校にいく道筋の横断歩道まで連れていかれて、「いいか、こっちの信号が青になってから渡る、むこうの信号が赤になってからじゃない」と父があたしに言い含め、あたしは泣きながらうなずいた。母がそばで、「もういいじゃないの、同じことなんだから」と言っていたが、父は真剣な顔で「いや、まちがって覚えたら比呂美の身があぶない」と言って、放してくれなかった。今、道を渡りながら、心の中で、「おとうさん、ロンドンでは向こう側の信号が赤になったら人間が渡る仕組みになってるよ」と話しかけておる。
歩き回りながら、SohoSquareに立ち寄り、人々がどう憩っているか眺めてきた。芝生で何か食べたり、たばこふかしたり、寝転んだりして、とても憩っていたが、ぎっしり人がいて、まるでお祭り日の人出のようで、アメリカ的にはあれでは憩えないのではないかという気がしたが、こっちの人たちは平気なようだ。
ロンドンに来た真の目的は、つれあいの仕事でもなく、オペラハウスでもなく、パブでビールを飲むことだったのに、まだ一回しか目的は達せられていない。この通りには一軒おきにパブがあって、まっ昼間でも外には少なからぬ人が立ち飲みしている。おばさんじゃなく、いかついおじさんならよかったなと思うのはこういうときだ(熊本の細道を車で離合しながら通るときも、おばさんじゃなくて、押しの強い、人にゆずってもらえないこともないおじさんなら、よかったなとたびたび思う)。あたしはいまだにああいうところに一人で入って、一人で飲むないしは食べるということができない。H田はうなぎ屋でもバーでもラーメン屋でも一人で入れると豪語していたから、パブなんてへのかっぱで、一人で入って一人で飲んで、Fish&chipsも食べられちゃうんだろうなあと、おじさんでなかったらH田になりたい気分だ。
パブの二階には食事のできるところがあり、そこでイギリス的なFish&chipsとか、スコッチエッグとか、食べられる。日曜日はローストビーフとヨークシャープディングが出る。すごくいってみたいが、たぶん行かれないだろう。

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