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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

ズンバと買い物

2013年12月10日(火)

4時にSNと駅で待ち合わせてズンバ、SNは5時からのインストラクターGと仲がいいので、この間から誘われていたのである。メキシコ出身の若い男というのは聞いていたが、なんととっても若い男で、まるで麻雀放浪記のときの真田広之をちょっとえげつなくしたような感じの、薄ヒゲの筋肉もりもりの男で、いやほんとに真田広之に似ているのでおどろいた。でもメキシコ人。スペイン語とドイツ語はOKだが、英語はできないといっていた。そのズンバはそんなに激しくもめまぐるしくもなく、わりあいにローインパクトで、おばさん向けで(じっさいそのクラスはほかのクラスよりおばさん度が高かった)、さすがによく腰を回し、そして動きにパキパキとキレがあり、明るかった。合図をするのに口笛を使った。それがえげつなく、またとっても可愛かった(しょせん、あたしはおばさんだ)。腰をまわしたり、前後にゆすったりする動作のとき、こっちをくるりと向いて、あっちゃーはしたない、みたいに目をかくす動作を何回もした。可愛い仕草ではあったが(あたしはおばさん)やはりMやCみたいに「女だてらに」「雄々しく」腰を振り回すほうがあたしは好きだ。SNとはそこで別れた。こっちに来て出会ってたちまち仲良くなって、ずっと知り合ってるみたいに男の話をさんざん打ち明けてもらった。いま大変なんだそうだ。明後日からSNはセネガルに行く。SNは帰り(よそでピラティスを教えているので、それ用のボールを大量に持ち運んでいた)あたしは一人でJのズンバにも出て帰った。さすがに2時間ぶっとおしは疲れはてた。最後のほうはうごいているだけだった。
帰りはいつもの地下鉄U2からU3に乗り換え、少し前の駅で降りてバスの186番に乗り換えて、大きなスーパーにいくつもりが、方角を間違えて(バスの行き先の地名を知らなかったのだ)逆方向のバスに乗ってしまって、引き返さなければならなかった。予定よりだいぶ遅れてスーパーにたどりつき、あれこれ買って、買いすぎて、重たい荷物を抱えて歩いて帰った。歩きながら、こういうことを、ベルリンという知らない町に住んで、やりたかったのかもしれないなあと考えた。
昔ワルシャワで住んでいたようなふっつうーーーーの住宅街(集合住宅の建ち並ぶ)の中の道を通って帰った。家々の窓々のクリスマスのあかりが実にきれいだった。ワルシャワもこの時期はこうだった。ほんとに印象的だったのを覚えている。クリスマスツリーはホインカという、choinkaと書くのかなと思って、googleで調べたらあたっていた(あたしはポーランド語は英語より非識字者なのだ)。
この暗い、冬至間近の暗い、暗い、いんうつな日々に、クリスマスをまちのぞむ気持ちがああして窓々のかざりに、あかりになって現れる。カリフォルニアあたりのでこでこしいライトアップの飾りとは意味が違う。きのうIさんにアドベントの意味を尋ねたら、クリスマスまでをまちこがれる気持ち、その期間ということで、「もういくつねると」みたいな気持ちなんだそうだ。じっさい、「もういくつねると」「あと二つねると」「あと一つねると」みたいな歌があるそうだ。教会では、おとな向けのそういう美しい歌をいくつも歌うそうだ。
寒すぎはしなかったが(今日は9度あった)霧雨の中を20分くらい歩いたからぬれた。けっこう遠かった。

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