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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

タケとコンブチャと親鸞と日大

2011年11月08日(火)

カリフォルニア。東京出がけに、仏教ともだちのM子と東博に立ち寄って見てきた「法然親鸞」展の「正信偈」の最後のとこの親鸞の直筆に、なんというか、ものすごく刺激され、揺さぶられ、歩けないほど疲れはて、一階の鶴屋吉信でまんじゅう買って糖分補給せざるをえなかったのであった。で、飛行機のってこっちに帰ってきたら、なんと、出かけにつくっておいたコンブチャがうまいことできあがっていた。のみかけに砂糖入り紅茶を混ぜてあたしの部屋においといたのだ。ふたをあけたら、しゅわーーーーとキムチのびんをあけたときのような、それ以上な泡がふきだして、味はさわやかなボトル入りコンブチャに近いものになっていた。満足である。しかしこのタネを使いまわして作っていったら、きっと別のものになっていくだろうと考え、2代かぎりの醸成にとどめることにして、さっそく、S子が1本かっといてくれた新しいコンブチャを3本のビンにわけて新規紅茶をそそぎ、第2世代コンブチャをかもし出そうとしておる。
タケは何もしなくても激しく腰がへなへなと折れるようにはなっていたが、まーそのほかはなんにもかわっていなかった。死んだような寝方も、すごい食欲も、食べ物への執着も。2週間前の老い方があまりに急激だったので、2週間もつかなと内心不安であったが、まだまだ大丈夫のようだ。つれあいは……ぜんぜんだいじょうぶ。雨の降りだしたなかに家に着いて、夜はずっと雨だった。
帰る前日には日大文理学部にいった。数年前に熊本の某大にて講演したとき、100人の学生がぴくりとも動かず、笑わず、「鉄腕アトムからPLUTOまで」というオモシロイ内容だったのに、感想もなにもなく、あたしは驚いて、番頭さんにたずねたところ、今どきの学生はみんなロボット状になっていて、YES NOテストできいてやると答えるけどそれ以外はだめだ、でもときどきスイッチが入ると人間に戻るてな秘話を教えてくれた。アメリカでは熱心な学生さんに呼ばれて、人間然とした学生と語り合いという経験が何回もあったのだが、日本の学生はよそのところでも、まあロボットなんだなという印象であった(FのMちゃんは人間……って日本人じゃないかも)。ところがこの日大、そもそも声をかけてくれたH尾さんが、まだ学部生だというのに人間以外のなにものでもなく、たいへんうれしく、たのもしく、なんでもやりますーといってあったのだが、実際、講演の会場にいた学生たちが、みな、人間らしくて、さいしょは堅くてしーんとしてたけど、すぐにほぐれて、人間らしくなり、人間くさくなり、とってもとってもおもしろかったのである。あの大学、いったいどういう教育をしているのだと思った次第。ほんとにすてきな体験であった。

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