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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

反権力から抜け出して

2016年06月21日(火)

 「反権力」の集会やデモと「有権者としての意思表示」の集会やデモは、見た目は似ているけど、その内実はまったく異質なものだ。18日(土)新宿東口街宣でミサオ・レッドウルフさんと初めて直接お話をした。2012年6月に首相官邸前の反原発脱原発集会が大きくなった時、集会の中止を告げるミサオ・レッドウルフさんのアナウンスを、おうちにいた私が一生懸命、タイピングしてツイッターで流したのはミサオ・レッドウルフさんは知らないことながら、あの時からお話してみたかった人。あの時、有田芳生さんは群衆の中の一人として「不穏な感じ」とツイートしている。

 外務省脇から官邸前へと坂を上る人が多すぎて混雑しているのを、群衆の中の一人の有田芳生さんは「不穏な感じ」とツイートした。警察の機材を借りて集会の中止を告げたミサオ・レッドウルフさんはあとからだいぶ非難されていた。「反権力」の眼で見るからそういう非難が湧くのだろう。「反権力」が目的化してしまった場合には「警察の協力するなんて許しがたい」という態度になる。が、反原発の官邸前抗議も、ヘイトスピーチへのカウンターも、それから集団的自衛官を認める憲法解釈から始まった安保法制反対も「反権力運動」ではない。有権者としての意思表示だ。この違いは大きい。「反権力」を標榜する集会やデモに政治家は近づけない。「反権力」を標榜する集会やデモはけっきょく、それそのものが目的化しています。「有権者としての意思表示」のデモや集会は政治家と有権者の関係性を変える力がある。首相官邸前抗議から昨年の国会前集会は野党共闘を実現させた。

 政治家と有権者をより近づけた存在として、その結びつきをしっかりとさせたのは「行動保守」を自認する右派のほうが先んじていた。ネトウヨ諸氏が自民党ネットサポーターズクラブのメンバーを自称していたのは、そういうわけだったのかと、今さらながら驚いたり呆れたり。

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