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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

高くてごめんなさい。文芸文庫「女ともだち」

2010年11月09日(火)

 講談社文芸文庫「女ともだち」発売です。1,400円。高くてごめなさい。短編「アジアンタム」も収録されています。角田光代さんがすごく良い解説を書いてくれました。東京女子大の近藤裕子さんによる詳細年譜も載っています。著書目録も入っています。あと、びっくりしている私の写真も(笑)若いって当たり前か。なんとなく自分でも「びっくり」(へへへ)

 自作解説は苦手なので、角田光代さんに書いてもらった解説を一部引用します。( )内は私の補足。

〜〜〜以下 角田光代解説
    押し流されない「今」から抜粋〜〜〜


 (「女ともだち」は)まったく私たち自身の過ごすなんでもない時間に似た時間のなかにいる。それなのに、光景はときおりはっとするほどうつくしい。夜更けに忍びこんだ神社の枯れ葉や、寝転がって見る夜空。窓から見える木々、ぼそぼそと交わされる言葉、そうしたものが、小説のなかで光を放ちながら屹立しているように見える。それはたぶん、彼女たちのいる場所が、彼女たち自身が、明日には姿を消す「今」そのもであるからだろう。一年後には、いやもしかしたら明日には、もう跡形もないかもしれない場所に、跡形もないかもしれない関係のなか、彼女たちは立っている。そんな刹那の奇跡が、ピンで留められた蝶のように、小説のそこここに在る。

 (「アジアンタム」について)それにしても、草をむしり、その草の山のわきに寝転がる江木の姿の、一連の描写の濃度は読むたびに圧倒される。濃い草いきれが文字のあいだから漂ってきて、酔いそうにすらなる。そこから浩一が江木を車に乗せる場面へと続くのだが、殺人も起こらないし濃厚なラブシーンもはじまらないのに、たじろぐくらいの緊迫感がある。描写の力強さに、打たれる。

 先に、加齢と小説のかかわりを読む楽しみについて書いた。17歳だった私(角田さんです)はこの小説を読んで自身に失望したはずだ。そうして40歳を過ぎて今、私は素直にここに描かれた「今」のまぶしさを全身に浴びることができる。そのまぶしさは、私がこの先年齢を重ねるに従って、どんどん光を強めるような気がしてならない。


〜〜〜〜〜〜以上 抜粋終わり〜〜〜〜〜〜〜

 角田光代さんどうもありがとうございました。

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