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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

観光地は俗悪?

2010年09月15日(水)

 観光地は俗悪って固定観念はいつできてしまったんだろう? だいぶ前だったような気がします。それこそ、第一次レジャーブームで、どこに行っても大勢の人がいて「押すな、押すな」状態だったとき。私は10歳以下です。親が嘆くことを耳で聞いて、素直にああそうなんだと思い込んだという感じです。それから、20歳前後になって、観光地はどこに行っても「かったるい」というポーズをとる人がかなり周りにいて、それも影響しているかしら。ただのポーズじゃなくって、実際、なんだか「かったるい」場所が多かったのも事実です。一時の熱気が去って、廃墟は目立つし、やる気のなさそうなドライブインの看板のペンキははげているし、せっかくの景色は、中途半端な工事のために台無しになっているしで、ろくなことはないってことになってました。

 遊園地もどこか荒んでいたし、動物園は動物がノイローゼになっているし、植物園は枯れた植物が点在しているし、思い出してみるとオイルショックの頃でした。
で、観光地は俗悪って固定観念が揺らいだのは、東京ディズニーランドが出来たとき。東京ディズニーランドはお客さんにも、「おとぎの国の住人」になることを要求する遊園地で、ここで観光地は俗悪って冷めたポーズをとることは許されないというか、そういうポーズをとること自体が大人気ないというか、場合によってはほかのお客さんの気分を台無しにする醜悪な行為だと、大げさに言えば、そう思いました。

 なんだろう? 人が集まって楽しむ場所を馬鹿にするとインテリっぽいというのか、そういうポーズが流行っていることに違和感を感じだしたのです。「東京ディズニーランド」が出来た頃の違和感を思い出すと、今でもご飯の中に小石が入っていたようにぎしぎしした嫌な感じがします。それは、上等なレストランに行ったのに「ここは気取っているからいやだ」とか、ひどいときには「無用な気取りだ」なんて偉そうに言い出されるみたいな場合に感じるそれと似ています。そういうぎしぎし感って私の親の世代(今の70代)よりも10歳くらい下の世代(今の60代)の人に感じることが多い感覚でした。

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