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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

神田「ささま」のお干菓子

2015年08月23日(日)

 神田「ささま」のお干菓子です。

 高校の修学旅行の時、近鉄奈良駅の近くのお菓子屋さんでお干菓子をひと箱買いました。赤と白の鹿の子模様と銀色の二色の箱は今でも古切手入れとして使っています。もっと小さな子供の頃は、金沢八景にあった武蔵屋さんで「すあま」を買ってもらうのが好きでした。餡子が入っていては嫌なんです。「すあま」でなければ許せない。おうどんは「うどんかけ」で澄んだお汁でなければ許せないという子どもでした。デパートの食堂のメニューに「うどんかけ」がなくって「天麩羅うどん」から天麩羅を取り除いてもらっても、汁に油が浮いているのが嫌で大激怒(4歳児だったので大泣き)したくらいでした。横須賀のサイカ屋デパートの食堂でした。

 あら、なんの話だったかしら。

 そうそうお菓子の話です。

 神田の「ささま」は東京の出てきて初めて和菓子を買ったお菓子屋さんでした。子ども時分にはうどんの汁の大激怒するくらい好みがはっきりしていたのですが、金沢八景から房総の館山へ越してみると、うどんかけを配達してくれるお蕎麦屋さん(金沢八景駅前の越後屋さんと決まってました)もなければ、すあまを並べたお菓子屋さんもなくって、そう気難しいことも言ってられなくなりました。餅菓子屋さんは那古観音の階段下に1軒あって、そこのうぐいす餅が好きになったのは中学生の頃かしら。でも、餅菓子はあっても金花糖はありませんでした。

 子どもだけがなんだか寂しい気がしていたのではなくって母も寂しかったようです。ある時、不意に上等のねりきりが食べたいと、突然、言い出したのでした。いつのことだったか。それ以来「ねりきり」とはなんぞや? という疑問にとりつかれた次第。婦人公論のグラビアで神田の「ささま」に行けば折々の「ねりきり」があることを知っていて、たまたま明治大学の2部に入学したので、目と鼻の先をこれ幸いと「ささま」へお菓子を買いに行った日からずっとお菓子を買ってきました。

 考えてみると餡子好きなのですね。で、大阪へ行っても京都へ行ってもお菓子を買ってます。お干菓子は持ち歩きに便利なので、よく買います。FBでお干菓子シリーズをやろうかなとつぶやいたら賛成していただきました。で、これから時間のある時にお干菓子シリーズをやります。お茶のお稽古がなかったら、こんな高価なお菓子はもう滅びてしまったかもしれません。そう言えば近頃「すあま」も見なければ「うどんかけ」を配達してくれる蕎麦屋さんもなくなってしまいました。

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