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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

出雲大社

2012年09月16日(日)

 95年の秋。日韓文学者会議のあと、韓国の詩人、作家のみなさんと出雲大社に行きました。17年ぶりということになります。前回、出雲大社に来た時には、この大きなしめ縄にコインがたくさん刺さっていたのを覚えています。最近はパワースポットブームとかで、若い人がたくさんお参りするとのこと。たしかに夏休みのカップルが目につきました。縁結びの神様だからかもしれません。

 出雲大社のそばにできた島根県立古代出雲歴史博物館の銅剣は圧巻でした。関東だったら、1本出土しても大騒ぎになりそうな銅剣が358本も出て来たのです。358本の青銅の剣が、ぴかぴかするレプリカで壁面に展示されているのは圧巻でした。銅鐸も大小取り混ぜて、眺めきれないくらいたくさんに展示されていました。

 領有権問題で大騒ぎになった竹島は島根県の島です。ある意味で出雲は国境の町と言えるでしょう。出雲の博物館と朝鮮半島の慶州の博物館の展示物がよく似ています。それは双方の交流のあとをそのまま物で物語っています。古代人が銅剣や銅鐸を大事にしていた頃は、もちろん、日本も韓国もなだなくって、現代とは異なった地理感覚で人は移動していたことでしょう。大社湾の水平線のかなたには白い積乱雲が並んでいました。水平線に積乱雲が並んでいるうちは「まだ夏です」とタクシーの運転手さんが言っていました。出雲へは羽田から飛行機で移動したのですが、考えてみると、ここでは関東平野の東京よりも朝鮮半島の古都の慶州のほうがずっと近いのです。古事記に、海を渡ってきた人が、死んだはずの兄にそっくりの人物を見つけておどろくという話があったのを思い出しました。

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