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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

よくしゃべる荒焼(あらやちー)の壺

2012年09月12日(水)

 やちむん通りの雰囲気がここ数年ですっかり変わったと見ていたのは6月です。それから2か月。あらまと驚いたのは、やちむん通りと、平和通りの市場の間に大きな道路が一本開通していました。平和通りの迷路のような市場から骨董屋さん、古道具屋さんの前を通ってやちむん通りへという流れが、道路一本で寸断され、やちむん通りは市場と切り離されてしまいました。孤立した感じがします。

 以前はやちむん通りを歩くとあらやちー(荒焼)の壺や甕をたくさん売ってました。もともとは泡盛などをいれる器です。それからシーサーがたくさん並んでいた時期もありました。赤い塗料を塗ったようなお魚の柄の器が並んでいたこともあります。今は、ものやさしい菊紋や水玉の焼物が増えています。こんなに流行があるとは知りませんでした。

 あらやちーの壺は前々から欲しいと思ってはいたもののなかなか高価で、しかも実用品ではないので手が出ませんでした。そのうちにと、見るだけにしているうちに数が減ってきたので、今度は一大決心。お店の棚の下で埃をかぶっていた壺をひとつ求めました。民藝から現代風なクラフトへという流れの中で取り残されたような壺でした。持ち帰るには重すぎるでの宅急便で自宅まで送ってもらいました。

 荷をほどいてみると、壺にはちょっとした歪みがありました。この歪みができた時、心地よい風でも吹き込んだのかなと想像しました。作る人のちょっとした手の動きが残っているのをおもしろく感じたのでした。するとなにやら壺がむにゃむにゃと喋っているような。そんな感じがする物品は骨董屋さんで買ってきたものには時々あるのですが、今物では珍しいのです。

 おや、おや、こいつはお喋りだと思うと、またむにゃむにゃ、何を言っているかまでは解らないのですが、なんだかむにゃむにゃ言っているのだけは耳に聞こえてきます。朗らかなおしゅべりさんです。なんだか仲良くなれそう。

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