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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

フランス共和国の価値観に反する

2010年05月13日(木)

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 以下のようなニュースを見つけました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜以下 AFPから 引用〜〜〜〜〜

【5月12日 AFP】フランス国民議会(下院)は11日、イスラム教徒の女性が顔や体を覆うベールは「国家の価値観と相容れない」とする決議を出席議員全員の賛成で採択した。ベール禁止の法制化に向けた足固めが進んだかたちだ。

 採択された決議に法的拘束力はないが、今後、公共の場におけるブルカやニカブなどイスラム女性のベールの着用禁止をフランスが法制化すれば、ベルギーに次いで欧州で2国目となる。

 ベールは「フランス共和国の価値観に反する」と宣言した今回の決議には、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領率いる右派の国民運動連合(UMP)と野党社会党が珍しく一致して賛成した。結果は、採決に抗議し棄権した共産党議員約30人をのぞき、定数577の同議会のうち、出席した434人の議員全員が賛成した。
 
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 09年の夏に久しぶりでイギリスへ旅行した時、イスラム教徒がおしゃれになっているのが目につきました。とくにブルカやニカブを着ている女性。全身を覆う衣装ですが、見るからに上等で贅沢な生地で、時には袖口の内側や、衣装の合わせの奥に金糸の精緻な刺繍が入ったりしていました。
 私がブルカやニカブを来た女性をいちばんたくさん見かけたのは、ロンドンのハロッズでした。5、6人で連れ立ってデパートでお買い物という人たちをたくさん見かけました。東洋人の私には「アラブのお金持ち」と見えたんですけど、ほんとうのところどうなのでしょう? これは反感を買いかねないなあという印象は確かにありました。もっと一般的なイスラム教徒は、ブルカやニカブではなくって、きれいな色のスカーフで頭を覆っていたり、装身具をつけたりしていました。

 パリやリヨンなどでもロンドンと同じような光景をみることができるのでしょうか? フランス政府は観光客にもこの法律を適用するとしているようです。

 これって、たいそう難しい問題を内包している気がしますけど、議会が全会一致だったと言うのにも驚きました。09年の夏に、ロンドンで感じたことは、旅行者の目に映る以上に深刻な事柄だったのかもしれません。
 あらゆる価値観から自由になろうとしたポストモダンの哲学大流行の時期に大学へ入った私などは、本物の21世紀、つまりポストモダンがこんな形で姿をあらわしてくることにたいそう驚いています。 

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