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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

サッカーがソフトボールに化ける。

2012年08月08日(水)

 自民党が不信任案を出すとか、出さないとか、かなり出す方向で8日午前中が回答期限だというニュースが並んでいます。自民、公明、民主の3党合意で消費税率引き上げの法案の採決を諦めても、内閣不信任案を出すというニュースが出てきたのは8月6日(月曜日)のことでした。この日の夜のNHKの「NC9」テレビ朝日の「報道ステーション」でもこのニュースは取り上げられ、なぜこんな方向へ急展開したのかと、どちらのキャスターもきょとんとしたコメントを出していました。

 8月7日夕刻にみんなの党などの中小の政党が内閣不信任案を提出しました。8月8日午前の時点では、自民党が不信任案を提出するか否かは民主の回答待ちと言うことになっています。消費税・社会保障一体法案の成立を見送っても、自民党は不信任案を提出することになりそうな見通しです。この急転直下の変化にさまざまな解釈が報じられています。

 さてと、私はこの流れの変化については、今回はかなり明瞭に自分の見てきた流れを信用しています。それを示すと以下のようになります。

 7月29日(日) 反原連による国会包囲抗議活動
 7月31日(火) 反原連と政治家の「対話テーブル」
  管直人前首相が出席し、野田首相と半原連代表との会見を提案する。
 8月1日(水) 小泉進次郎自民党青年部長ほか11名が内閣不信任案を提出する緊急声明を谷垣総裁に提出。
 この日、野田首相が反原発の代表との会見の検討を始めています。
 8月3日(金)反原連による恒例の首相官邸前の金曜日集会。この日、野田首相が反原連の代表と会見すると言う情報もあり。いろいろな情報を総合すると反原連との会見をネット中継するか否かで揉めていた様子。
 8月6日(月)自民党の内閣不信任案提出が現実味を帯びてくる。
 反原連と首相の会見は8日に設定され、ネット中継される予定との発表がある。
 小泉元首相が「野党が解散権を握れるなんていうのは滅多にない機会だ」と叱咤している様子の目撃談が報じられる。
 8月7日(火)反原連と首相の会見が、8日に消費税関連法案の採決があるという理由で延期される。
 枝野経済産業相が首相と反原連の会見に反対の意見を述べる。
 8月8日(水 午前)自民党が内閣不信任案提出の構え。

 8月1日に小泉進次郎議員の内閣不信任の提案があった時は「確率はひくいけれども、選挙になるかもしれないなあ」と感じました。
 8月3日には、恒例の金曜日の首相官邸前抗議活動に首相が突然現れるというイギリス映画のような展開があれば、「どじょう」首相が「龍」に変身という可能性もありだなあと思ってました。たとえそれが竜頭蛇尾に終わるかもしれなくっても、そういう局面であったでしょう。
 8月6日に小泉元首相の目撃談が報道された時は「ははん、これは自民党幹部の決心がつきかねているのをおとうちゃんが息子の援護射撃にでたんだなあ」と解釈。

 抗議集会が大きくなりすぎて、不安を感じていたところ、「対話テーブル」の設定が早くのに驚いたのは前に書いたとおりです。その「対話テーブル」に管直人前首相が現れ、「対話テーブル」から「首相会見」へと話の焦点が変ったのを、私はサッカーのプレッシャーをかけ、パスを出したら、管直人前首相が手で受け取ってソフトボールを始めちゃったみたいだという印象を書きました。その比喩の延長でゆけば、管直人前首相の投げた球を「どじょうを龍にばけさせてはならじ」と小泉進次郎議員がカットに出たと、そんな感じです。カットされかけた球はゆるゆると、野田首相の手に。野田首相がぼんやりと球を投げると、今度は外野席から小泉元首相の叱責が飛び、ようやくソフトボールが始まったことに気付いた自民党議員が、球を奪いにでると。そんな感じの比喩を頭に思い描いています。

 代々木公園での反原発集会、首相官邸前の金曜日の抗議集会、国会包囲抗議集会など一連の抗議活動の参加者数についての警察筋の発表の数があまりにも少ないことに私はこだわってきました。おそらく記者クラブ筋から出ている情報だろうと考えられる数字ですが、この数字について「抗議集会を小さく見せたいから」という説明を自分でもしました。そう説明すれば、多くの人が納得してくれますし、その可能性もまるでないわけではありません。ただ、私はこの小さな数字に記者クラブに警察筋の情報を流している人物(誰だかわかりません、誰かです)のある種の「あなどり」を感じていました。現実を見ようとせずに、「あなどった」印象でつくった適当な数字を口にしているのではないかという疑念が払いきれませんでした。そして警察筋の人物の「あなどり」は記者クラブの記者とも共有されていたのではないかと推察されていました。

 もしそういう「あなどり」があったとすれば8月1日からの激変には、驚いたはずです。もっとも、サッカーがソフトボールに化けた瞬間に、政治の事情に精通していると考えている人々(記者に限らない)の従来とおりの解釈も有効性を帯びてきますから、サッカー的な要素は無視されるかもしれません。これを書いている間に事態は時々刻々と動いていることでしょう。

 余談ですが、女子のソフトボールは前回の北京オリンピックを最後にオリンピック種目からはずれたはずですし、野球のオリンピック種目ではなくなったような。曖昧な記憶ですが、今度、ちょっと調べておきます。今回のロンドンオリンピックでは、ソフトボールの報道も野球の報道も見かけていませんが。

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