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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

寄り道中央線 おまけ3

2011年01月17日(月)

 大阪から近鉄大阪線で名古屋。名古屋から中央本線で木曽福島。木曽福島で1泊。大学生の頃はこんなほっつき歩き方をすると、泊まる旅館で困ったものです。女性ひとりって旅館のほうがちょっと困惑します。それから、まだ団体旅行の名残が残っていて、あまり一人客用のお部屋とかがありませんでした。あと、お風呂。だいたい男性の団体用ということが多くって、女性用はつけたしみたいな貧素なお風呂っていう宿もありました。とことこ出かけて、気持ちの良い旅館に泊まれるのは、たいへんな変化です。

 朝はマイナス17度と聞いた宿で「露天風呂があります」って言われても「大丈夫かな」とやや心配。が心配御無用でした。ぬるいお風呂にゆっくり浸かって、外に出ると、まるで夏のデパートに入ったような心地よさ。それからお風呂に再び浸かると、今度は炬燵にもぐりこんだような幸せ。で、露天風呂にゆっくり入っている女性のお客さんがいました。家族連れが多かったのですが、この人はひとりで泊まっている様子です。この頃はどこに行っても、こういう一人でゆっくりお風呂に入っている女の人に出会います。家族連れが多いのは、きっと年末年始が忙しいご商売のお家なのでしょう。

 木曽福島から新宿へ。列車は「塩尻」で乗り換えます。特急「しなの」から特急「あずさ」への乗り換えです。JRもJR東海からJR東日本へ。西国と東国の境界というのは、こんなところに残っているのです。木曽福島から塩尻までは特急の停車駅だとひと駅。
 今度はだんだん下って行く線路です。右、左に迫っていた山の斜面が左右ともに遠ざかって行きます。山はうっすら雪をかぶっていました。常緑の赤松が目立つ山で、松の緑と白い雪のコントラストが軽やかな色彩を放っていました。空は晴れて、これまた青。列車が雪を舞い上がらせ、舞い上がった雪は金と銀とに輝きます。平地にならぶ冬枯れの葡萄畑が見えてきたら、もう塩尻。

 塩尻の駅で乗り換え。若い旅行者の姿が目立ちました。旅行者というより、東京に戻って試験を受ける大学生とか、入試のために東京にでる高校生とか、そんな感じの乗客がホームにずいぶんいました。塩尻の駅では、ホームにトイレがあったことと、そのトイレが暖房されていたばかりか、便座が暖かだったのにちょっと感激。
「あずさ」がホームに入っていると、なんだかもう新宿にいるような気がしました。窓の外に富士山が見えたのは、どのあたりだったか。写真に撮れるかなとカメラを向けてみましたけれど、走っている列車の中からはどうもうまく撮影できそうにありません。そのうち車内は大混雑し始めて、寝てしまいました。



 今日の写真は、あてずっぽうにシャッターをおしたら撮影できていた富士山の写真です。これは家に帰ってから「おや、富士山ちゃんと写っているじゃないの」と気伝いものです。あと、法政のボアソナードタワーで撮影した日暮れ。陽が沈むところを撮ろうとしたので、富士山の姿は画面に入っていませんが、茜色の西の空には富士山の姿がありました。

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