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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

久しぶりに歯の痛みから開放される

2008年12月28日(日)

 歯槽膿漏がこんなに痛いものだと思いませんでした。

 最初に右の奥歯に痛みを感じたのは11月23日の勤労感謝の日。大根の漬物をかじったら、ずきんときました。おかしいなあと、首をひねっていたら一週間後に、こんどはずきんずきんと新幹線の中で痛み出しました。
「あ、痛い。痛てて」と冗談ではない痛いみでした。
 で、どういうわけか、この新幹線には数学者の森毅さんが乗り合わせていました。森毅さんとは以前、朝日新聞の書評委員会でご一緒させていただいたのですが、
「痛い、痛い、痛い」
 という顔を座席でしているとにやりと笑って通り過ぎて行きました。

 歯医者さんに飛び込んだのは翌日。
 薬を貰ったのに、ぜんぜん痛みが治まりません。そのまた翌日、虫歯の治療後にかぶせた金属をとって、再度、虫歯を治療。抗生物質と痛み止めをもらいました。

 歯茎がはれたのは、その後のことでした。歯茎と頬肉の間がぷっくりとふくらみました。これがどうにか収まったと思ったら。また先週、寒い日にずきん、ずきんと痛み始めました。どうも冷えるのがいけないようです。そういうわけで、ここ数日は寝る時に湯たんぽを入れていました。再び、歯茎が腫れたのは26日。これは歯茎を切ってもらわないとおさまらないかなと、覚悟しました。明日29日に歯医者さんの予約が入っています。でも、いや、そのせいか、今日は痛くないのです。ぜんぜん痛みません。

 久しぶりに歯の痛みから開放されました。歯が痛くないから、肩もこりません。ま、でも明日は歯医者さんにいってきましょう。

三竦の羽織狐

2008年12月27日(土)

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 伏見稲荷で買った羽織狐です。

手に入れたときから、どうもこの狐は平べったいなあと思っていました。でも、どことなく遊び人風なのが気に入っていました。

 伏見人形を作っている丹嘉のご主人に伺ったところ。この狐は平べったいはずです。三竦(さんすくみ)はジャンケンと同じで、狐のほかに庄屋と猟師の人形があるそうです。庄屋は狐に騙される。狐は猟師に鉄砲で撃たれる。そして猟師は庄屋さまには頭が上がらない。という三竦で、この人形を隠し持っていて、差し出した人形で勝ち負けを決めるという遊びの道具だということでした。

 狐に背中には「一力」の文字が入っています。もともとは祇園の御茶屋の「一力」の注文で作ったものということでした。どうりで、遊び人風の狐のわけです。不良っぽい色気があるのはそのせいかもしれません。大の大人がこんな土人形で遊んでいたのは、その昔、平和な時代のことでしょう。

赤いモールのサンタ

2008年12月24日(水)

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 赤いモールのサンタが歩いていました。それだけのシンプルな夢を見たのは今月の初めでした。

 クリスマスのオーナメントもだんだん贅沢になって、高価で美しい品物を毎年、少しづつ、集めているお家もあるのじゃないかと思います。木製で塗りの良いものや、クリスタルガラスのオーナメントも見かけます。

 もうモールで作ったサンタなんて、探してもないかもしれません。クリスマスが楽しかったのはなんと言っても幼稚園の頃ですが、私が幼稚園に通っていた頃は、赤いモールで作ったサンタはオーナメントの定番でした。

 夢の中を歩いていたのは、私が幼稚園の頃の赤いモールのサンタでした。

 で、我が家にもひとつだけ赤いモールのサンタがあったことを思い出しました。写真はうちの子が保育園に行っていた頃の赤いモールのサンタです。私の幼稚園に飾られていたモールのサンタはもう少し寂しい感じでした。でも、このサンタも今では貴重品かもしれません。

6億円

2008年12月23日(火)

 うちの隣りの住宅展示場が「ニトリ」になるということで、展示してあった住宅の取り壊しが始まっています。ここ数日は硬いコンクリートの土台をがんがんと砕いています。

 だいたいどの家も一棟3000万円くらいで。それが20棟あったのですから、ざっと計算して6億円。宅急便を配達してくれたおじさんが
「壊すくらいなら俺にくれればいいのに」
と言っていました。
「うちでも置き場所さえあればもらってきたいけど」
と笑ってしまいました。

 なんか、もったいないと言うのか。どう言ったらいいのかわからないけれども、複雑な気分です。今日は天皇誕生日で取り壊し工事はお休み。久しぶりに静かです。

幻の「海を感じる時」

2008年12月22日(月)

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 これまで何度か、韓国の詩人や作家から「あなたの本を読んだことがあるよ」と言われました。
「何語で読んだの?」
「韓国語で」
 という会話が何度か繰り返されて、ずいぶん以前に韓国で「海を感じる時」が出版されていたようだと言うことは知っていました。

 アンソロジー「うさぎ狩り」を出してくれたカン出版のチョン・ホンス社長が古本屋で韓国語訳「海を感じる時」をみつけてくれました。写真を撮影して届けてくれたのはエージェントの金承福さんです。五制文化という出版社から出ているのですが、この出版社はもう存在していないとのことでした。

 金承福さんによると、私はこの本の翻訳者と会って話をしているそうです。それから本の口絵写真には私のサインが入っていました。口絵写真は講談社の写真部が撮影したもので、講談社「海を感じる時」の初版に使われたものでした。2刷り以降からは別の写真が使われています。
 サインは横書き。本にサインを入れるときは、たいてい縦書きのサインを入れています、韓国版の口絵の横書きのサインは手紙もしくはファックスの末尾に入れたサインのような気がします。

 もし私が翻訳者に会って話をしているとすれば、翻訳出版の許諾もしているという可能性がまったくないわけではありません。口約束あるいは契約書にサインをしていても、すっかり忘れているということも考えられるからです。ただ、韓国版の装丁には覚えがないのです。契約のことは忘れても、出来上がった本が届けられれば、その装丁はまず忘れるということはないように、思えます。とくに漢字表記とハングル表記が混じっている宣伝文が入っていたら「へぇ」と思うはずで、やっぱり、これは幻の「海を感じる時」でしょう。

今夜は柚子湯

2008年12月21日(日)

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 朝から大風がごうごう吹いていました。

 今夜はかぼちゃを煮て、柚子湯。

紀の膳ツァー

2008年12月20日(土)

 法政大学のゼミの諸君と、神楽坂の「紀の膳」に行きました。週末は予約はできないとのことで、ならんで入りました。かなり混雑で、最初はどうなるかと思ったけれども、そこは慣れた店員さんがうまく席を作ってくれました。お礼がいいたくなる手際のよさでした。

 粟(あわ)ぜんざいを食べました。栗ぜんざいもあるかど、やっぱり粟(あわ)がいい。あの鳥のえさの粟です。

 それから、カナルカフェのデッキに。いつになく良い天気で青い空に飛行船が飛んでいました。そのあとからヘリコプターも、どこへ行くのやら猛烈なスピードで飛んで行きました。

 お喋りをしているうちに「冬至はいつだろう?」と言うことになり「今日か? 明日か?」誰も解りませんでした。

 冬至は明日12月21日です。駅前のスーパーにそう書いてありました。どおりで、そとぼりの土手を照らす夕日がいやに赤くみえました。

 帰りにお風呂用の柚子とかぼちゃを買ってきました。家に帰ってくると四年生が新年の「餃子パーティ」のお知らせメールを回していました。そういうわけで今年もだんだん残り少なくなってきました。

四面魚歌

2008年12月18日(木)

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 半漁人のぽにょ。買っちゃいました。横から見るとまだ魚の顔をしているところがかわいい。

 「お腹のまんまる」女の子は大好き!

 メタボなんて言うよりぽにょのほうが好き。
 でもメタボな彼は言う
 「ぽにょぽにょ言うな。気持ち悪い」と(笑)

 「おててはいいなにぎっちゃお」
 と歌っていたら
 「ちがいます。おててはいいなつないじゃおです。にぎらないで下さい」
 となおされました。

 「あれはねえ、きっと老年のエロスが働いているんだと思う」
 と言ったら
 「映画見てないのに、とんでもない説を唱えないでください」
 と叱られました。
 映画を見たいけど、見る時間がないんだもの(泣)
 なんで、そんなとんでもない説を唱えたかというと、室生犀星に「蜜のあはれ」という愛人は金魚という小説があるのです。ニックネームが金魚じゃなくて、本物の金魚! ずっとずっと前から「蜜のあはれ」が好きでした。

 ああ、忙しい。ぽにょぽにょしてられない!

欅、楓、桜。紅葉は銀杏が独走。

2008年12月02日(火)

 今年は10月半ばには、桜の葉が散っていました。だらだらと蒸し暑く、紅葉は冴えた色に紅葉しないまま、かさかさと音が立つような枯れ方をしました。もっとも悲惨なのは欅。我が家から見える欅は、紅葉というよりも立ち枯れたような状態。

 そのためか、身辺の病気の人が多いような気がします。へんてこな天気は身体のこたえるのでしょう。

 銀杏だけがすばらしい黄色を見せています。でも、もう12月。95年のオウム事件があった年、府中の東京競馬場の近くで、すてきな銀杏並木の黄色い紅葉のしたを歩いた記憶があるのですが、あれはたぶん11月半ば。10年ちょっとで、紅葉が2週間も遅くなっている勘定になります。気候がどんどん変わっているのを、ひしひしと感じています。

 秋山駿「忠臣蔵」を読みました。仕事を放り出して読んじゃいました。物語ができる必然が説かれている。そう感じました。世の中が物語を欲する時があるのだと。忠臣蔵の元になった事件がおきた元禄の世を例にとりながら、物語の出来上がる動きを簡潔に捉えているエッセイでした。

湯たんぽ

2008年12月01日(月)

 「おたあジュリア異聞」の挿絵を描いている宮本さんのお兄さんから、湯たんぽの話を聞いたのは、たぶん去年の暮れでした。なんでも中国で買ってきた水枕のような湯たんぽがたいそう心地よいということでした。

 うちの湯たんぽは息子が生まれたときに買った赤ちゃん湯たんぽです。プラスチック製で、本体の上に覆いがついています。赤ちゃんが低温やけどをしないようにしてあるのです。この湯たんぽを買ったときは、まさかそれから25年以上も役にたつとは思いもしませんでした。これが毎年、冬になると大活躍! 風邪で寒気がするときなどは、この湯たんぽを入れておくと、ぽかぽかして、熱が出るのを寸前で止めることができます。

 無印良品の店を覗いたらプラスチックの湯たんぽを大小で売っていました。これはいいや! とさっそく大をひとつ。小をひとつ。チェックの湯たんぽカバー付きで買いました。

 それで、そのあとで見つけたのです。宮本さんのお兄さんが言っていた水枕式のぽにょぽにょした湯たんぽを。数寄屋橋近くの雑貨屋さんで売ってました。

 ああ、残念なことをしました。こっちの水枕式のほうがよかったなあと後悔しても、遅かりし由良之助でした。ほんとうは水枕式が欲しいのだけど、でも、そうすると家じゅう湯たんぽだらけになっちゃうし、さあどうしようかしら?

   
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