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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

師 倒れる

2006年12月31日(日)

 走りすぎた御師匠様はばったり倒れてしまいました。
「先生 大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないよ!バカヤロウ!」
 というわけで今年も終わりです。来年もよろしく。

燕尾服がうろうろ

2006年12月27日(水)

「なんでリハなのに燕尾なんだ」
 は「のだめカンタービレ」の千秋(玉木宏)のセリフ。玉木宏は最初、あまり千秋に見えませんでしたが、だんだん千秋になってきた感じ。
「なんで夜中に燕尾なの」
 これは私の昨夜のセリフ。
「だって、このシャツ、15,000円もしたんだ」
 という息子。初めての燕尾服です。なんでも第9の演奏にのるので、どうしても燕尾服がいるということでした。世の中にはいろんな仕事があるものですが、燕尾服が必要と解った時に「大阪に音楽家専門の洋服屋さんがあるよ」と教えてもらったそうです。寸法を計って、電話で注文を出すと、なんと翌日には燕尾服が一そろい届きました。で、その燕尾服のための白蝶ネクタイとシャツは「自分で買うから」と息子はバイトの給料日を待ってました。彼はホルンを吹きながら体育館の守衛のバイトもしているのです。
 だから、燕尾服がそろったのは本番の前の晩。夜中に家の中を燕尾服がうろうろしているのは、なんだか奇妙な眺めです。テールはかっこよいのですが、なにせマンションなので天井が低く、どうやっても燕尾服の所作と周囲の景色が一致しません。燕尾服は天井が高い建物で着なくちゃ、さまにならないのです。しかも、ズボン丈は私が酔っ払ったまま裾上げテープでくっつけちゃったから、モールがよれています。ステージではどっちみちあんまり目立たないからいいやということになりました。

 今夜(27日)と明日(28日)池袋の東京芸術劇場でベートーベンの第九協奏曲にのる(彼らは演奏に加わることをそう呼びます)そうです。18時30分開場。19時開演。指揮は宿木允人。もしお閑がありましたらお越し下さい。

余談 テレビ・ドラマどからどうでもいいって言えばどうでもいいのですが、秋吉久美子の音大理事長ってものすごく不安。子どもが録画していたビデオをちらちらみていたので、昨晩、秋吉久美子が音大理事長って気付いたのですが……。燕尾服のまま「のだめ」なんか見てるんじゃないとか言っていたら、秋吉久美子がでてきたの。

ストッキングとタイツ

2006年12月25日(月)

 馬の足を見ているうちにストッキングとタイツが欲しくなりました。で、買っちゃった。イタリア製のストッキングとタイツ。ううん。サラブレッドの足ほど細くなくてもいいからもう少し面積が小さくなるといいなあ。お花模様のレースのストッキングなんだけど、なんか大輪の花が咲いちゃったんですね。まあ、馬だって腰のあたりはそうとうにしっかりとお肉がついていますが……。

ディープインパクト

2006年12月24日(日)

 ここのところしばらく中山競馬場に行っていなかったのですが、有馬記念見てきました。やっぱりディープインパクト無敵でした。第4コーナーを曲がってところで騎手の武豊が鞭をひとつ入れただけで、すっと上がってきてそのまま三馬身差でゴール・インでした。これで12戦で1位が11戦、2位が1戦。2着は去年の有馬記念ですから、無敵です。

 が、今日は第7レースに「ターキー」って馬が出ていて、馬のくせに「七面鳥」なんて!という単純な理由で単勝を買ったら、これがちゃんと来ました。「ターキー」さまさまでした。昨日、東武デパートでターキーを買おうかどうか迷って結局買わなかったのですが、今日はぜんぜん迷わずに買ってました。(ターキー違いだけど)えへへ(笑)です。買ったと言ってもたいした額ではないのですけど。

 あと珍しかったのは9レースつまり有馬記念で、ゲート・インで拍手が起きたことかな。出走馬のなかのただ一頭の牝馬、スイープトウショウがどうしてもゲートに入らなくて、無理に入れようとすると後ろ向きになり、お尻からゲートに入りそうになるで、大騒ぎ。まず方向転換にひと苦労。それからやっと前を向いたら今度はてこでも動かず。かなり頑固なお嬢さんです。騎手が尻尾をひっぱって、ようやくゲートに入った時には満員のスタンドから拍手が沸きました。

 そういうわけ、いや、どういうわけか、今年はターキーではなくて、ロースト・ビーフを昨日、買ってあるので、これからホース・ラデッシュをすりおろして食べることにします。馬の「ターキー」が稼がせてくれたぶんは明日の宴会のシャンパン代くらいになりました。

宴会・パーティ・宴会

2006年12月21日(木)

 伊藤比呂美さんのお家で宴会を開いてもらったのは今月の初めのことでした。なんだか、もう遠い昔に感じられるのは15日の野間賞のパーティからすうっと宴会とパーティ続きだからかなあ。伊藤さんお元気でしょうか?もうカルフォルニアにお帰りになられたのでしょうか?「もう好きなことをどんどんやりたい」と熊本空港でおしゃってましたが、私のほうも「好きなことをやりたい」っていう心境になってます。

 伊藤さんの言う好きなことは好きな仕事って意味ですが、私のほうは、まあ、惰眠とか馬鹿騒ぎとか、自分でもあんまりろくなことじゃないなあって気がしてます。すごく「なまけもの」なの。

 今朝、おきて鏡をみたら、おばあさんがひとりにっこり笑ってました。ふううん、こういうおばあさんになるのかって、ほかの人の顔をみるような気分で眺めてました。なにしろ、親が40代で亡くなっちゃっているので、我が一族で久しぶりのおばあさんの出現になりそうです。宴会続きでくたびれているから「おばあさん」が顔を出しちゃったみたいです。

師走

2006年12月20日(水)

 師も走るから師走って言うのだそうですけど、今の先生は一年中走っています。大学へ出ているとそう思います。だってみんな、70歳近い先生まで足が速いんですもの。足が速くなくちゃ先生はできないなあって感じがしています。

 

猫も働いている熊本大学

2006年12月17日(日)

 「猫の手も借りたい」忙しさという言い方があります。15日を皮切りになんと30日までなんらかのパーティもしくは宴会の予定が入っていることが判明して、こういう忙しさは猫なんかに手を貸してもらうのはもったいないなあと思っている今日この頃です。

 熊本のお話の続き。伊藤比呂美さんのご紹介で熊本大学の先生方にお引き合わせいただきました。伊藤さんはしばらく日記をお休みしていますが、とても元気です。で、熊本大学ですが、こちらはほかの大学と同じように「猫の手も借りたい」ところを通りすぎて猫も働いている熊本大学と言われているそうです。大学はどこも大学・大学院改革で大忙し。何が忙しいって会議が増えるし委員会がたくさんできるし、学内を歩いているだけであっという間にどんどん仕事が増えて行くという事情に変わりはないようです。

 熊本大学ももとは夏目漱石も先生はしていた第五高等学校ですから、猫も働きなれているのかもしれません。「我輩は猫である」とばかりに校内をゆうぜんと歩く猫が数匹いました。1限の始まりは法政大学よりも1時間30分早くて8時から。その時刻に学生食堂がもう営業をしていて朝ごはんを食べている学生がいたのには、感心しました。けっこううまそうな朝ごはんでした。

ひともじのぐるぐるを

2006年12月15日(金)

 前回、近代文学館のシンポジウムのために熊本に行った時、ひともじのぐるぐるを喜んでいたのを馬場さんが覚えていてくれました。で、ひともじ(細い葱)をぐるぐるまいたものです。だからひともじのぐるぐる。でも今回はひともじのぐるぐるにめぐり合えなかったのです。残念。残念。でもこれから春までに何度か熊本に行くことになります。

 宇土は静かな町で、町の至るところに桃色の石で作った井戸がありました。轟水源から引いた水を共同で使用していたそうです。江戸時代に作られた水道を今でも利用している家もあり、水道組合で管理しているとのことでした。肥後の石工は江戸城の石垣を組んだことでも知られています。江戸城の石垣を組むとき、先頭に立ったのは加藤清正です。秀吉の晩年、つまり朝鮮の役の頃、肥後の国は北の熊本周辺を加藤清正が、南の宇土を小西行長が領地にしていました。が、今の熊本では加藤清正は偉大な英雄で、小西行長は「大悪人」なのは、加藤清正との確執が原因の一端にあるようです。男の嫉妬って400年たっても消えないのねえという話かもしれません。ああ、恐い、恐い。もっとも加藤清正公に聞いたら嫉妬なんかじゃなくて「義憤」とか「公憤」と言うかもしれませんが。

 ひともじのぐるぐるを探しに、「つるや」デパートの地下に入ったのですが、ひともじのぐるぐるはありませんでした。おみやげに熊本城の絵の入った包み紙の「朝鮮飴」を買いました。朝鮮の役の時の保存食だそうですが、これが鹿児島の兵六飴とかぼんたん飴に似た感じの柔らかな食感です。おもいっきり片栗粉がかかっているところがなんだか豪快でした。なんで朝鮮の役の時に加藤清正が虎退治をしたのか? その謎が少しだけわかったような気がしました。どうやら朝鮮の役は、加藤清正のお膝元では「勝った」ことになっていたみたいです。

びっくりちゃんぽん

2006年12月11日(月)

 来年、静岡新聞、熊本日日新聞などに連載するのは、秀吉の朝鮮の役の時に平壌郊外で小西行長に拾われた朝鮮貴族の娘ジュリアおたあの物語です。今回は小西行長は熊本の宇土の領主であったところから、宇土を中心に取材してきました。ところが宇土では小西行長は大悪人ということになっていたのには、驚きました。本を読むだけでは解らないこともたくさんあるのですね。なぜ小西行長が大悪人なのかはおいおいに書きます。一般には朝鮮の役を無事に終結させようとした外交官的武将、あるいは商人上がりの切支丹大名というのが小西行長のイメージです。

 で、小西行長が大きなミサを上げたお寺があったという大矢野まで足を伸ばしました。そこでいただいたのがちゃんぽん。湊の岸にある小さな食堂で、大盛りのちゃんぽんが有名だそうです。
 お店はそれこそ台風が来たら海の波を浴びてしまいそうな湊の岸にあって、外側は新しく作り直されていますが、中にはいると半分は土間、半分は神棚のある座敷という典型的な海辺の家の構造になっていました。
 ちゃんぽんはわっといいたくなるくらいの山盛り。お野菜と殻のついたままの小エビが勢いよく油で炒めてありました。麺は、やや太め。ラーメンほど細くはなく、うどんほど太くはないという感じで、やさしい弾力があり、適度にスープを吸っています。東京ではなかなかこの麺が手に入らないとのことでした。殻付きの小エビはワイルドな感じですが、エビの殻と身の間においしいスープが入っていて、噛むとじわりと染み出すところがなかなかでした。このちゃんぽんの味に一端は小エビが殻付きであるところから出ているのでしょう。野菜と小エビの具の山から麺を掘り出すのに一苦労するほどの山盛りでした。ちゃんぽんというと、あんかけのイメージがありましたが、ここのお店では素朴な油炒めの具でした。見た時は驚きましたがお野菜たっぷりでさらりと食べられました。

 で、ちゃんぽんを食べながら聞いたのが捨て子の話でした。今でも時々、捨て子があるのだそうです。で、昔の捨て子はちゃんと産着を着せて、名前などを書いた紙が添えられていることが多かったのに、今では丸裸とか大人用のジャージなどに包んであることもあるということで、「どうしちゃったんだろう?」と首を傾げてしまいました。

熊本 大収穫

2006年12月08日(金)

 5日 朝焼けの羽田を発って朝一番の飛行機で熊本に行ってきました。来年、新聞連載をするための取材でしたが、思いがけない大収穫でした。熊本の伊藤比呂美さん、どうもありがとう!

 熊本の大収穫の報告はおいおいにするとして、ちょっとびっくりな話。白い雪をかぶった日本アルプスをかるがると飛び越えて、熊本空港に着くと早速、呼び出しがかかっていました。「ははん、伊藤さんだな」と総合案内カウンターに行くと「渋滞のために空港到着が遅れる」という伝言でした。

 で、伊藤さんは渋滞で遅れそうだと、熊本近代文学館の馬場さんに連絡をとったところ「その渋滞の原因は僕が巻き込まれた事故です」という返事にびっくりしたそうです。なんでも、馬場さんの車の三台手前の車に大型トラックが突っ込むという追突事故で、馬場さんの車は先頭で、後ろからごつんとやられたとのことでした。間の二台はめちゃくちゃに潰れたそうでが、幸い、大怪我をした人はいなかったとのこと。

 追突された馬場さんの車も走行には支障がなく、空港まで来ていただきました。なにより怪我がなかったのはほんとうに幸いでした。そういうわけで、空港到着早々かなり驚いた熊本取材でした。

これから熊本に

2006年12月04日(月)

 行ってきます。伊藤さん、まっててね。からし蓮根たべたいよ!馬刺しもおいしいし、それから、山形の人からもらった「おふらんす」じゃなくて、「ラ・フランス」持って行きます。いっしょに食べましょう。

秋山会

2006年12月02日(土)

 伊藤さんはもう東京にいらっしゃっているのでしょうか?30日の六本木の朗読会には出ているはずだからきっと東京に来ていることと思います。だって今日もか風花の朗読会だもの。で、私は年末恒例の秋山会幹事だってことを忘れてました。今日は秋山会。そういうわけで伊藤さん、風花には行けません。ごめんなさい。来週、熊本でお会いしましょう。ちゃんと朝一番の飛行機に乗ります。

 秋山会のことは、まえに熱海で見た冬の花火の話題でここに書いたことがあると思います。一年に一度、文芸評論家の秋山駿さんを囲む会をやっています。だいたい今頃で、秋山会が終わると師走に突入という感じです。秋山会だから晩秋の最後ってわけでもないのですけれどもね。で、今年は練馬のお蕎麦屋さんで、日の高いうちから一杯楽しもうという趣向です。ではいってきます。

大急ぎの秋

2006年12月01日(金)

 皇居の周りをタクシーで走ったら、今が紅葉の盛りでした。大急ぎの秋です。ほんの2週間前までは、紅葉の気配さえなかったプラタナスの木とか欅とかが、もう赤く黄色く染まって散り始めています。

 雨がふると、散った木の葉がアスファルトや石畳に張り付いて湿った音を立てます。ここのところ、夕方になって急に雨が降り出すというようなことが続いて、かさをお借りしたのですが、それを置き忘れるなんてことが二度も起きたので、ちょっとぼけてるかなあって反省しています。反省だけなら猿でもできるなんてCMが昔ありました。

 猿といえば、うちの娘は「チンパンニュース」を見ないと寝ないというへんてこな習慣ができたみたいです。
深夜番組で動物のための動物による動物のニュースだそうです。何の話でしたか?そうそう今年の秋は大急ぎだという話でした。というわけでもう12月になってしまいました。

   
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