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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

なまなましい発音

2004年11月29日(月)

 伊藤比呂美さんと話していると、彼女が妙に言葉をなまなましく発音することがあって、すっかり覚えてしまいます。
「あの、なんだっけ、山形で食べたおフランス!あれはおいしかった」
「伊藤さん、おフランスじゃなくてラ・フランス」
 こんな会話をして以来、店先でラ・フランスを見るたびに、洋梨が「おフランス、おフランス」と唱えているように見えて仕方がありません。

 今度も「あたし、生肉は大丈夫だけど焼いたり煮たりした獣肉がダメなの」というので、なぜか「ジュウニク」という発音がどっしりと耳の中に残りました。
 ポトフのすね肉も「ジュウニク、ジュウニク、ケモノノニクダヨ」と言いながら煮えているようで、まちがっても、家の子どもたちには気味悪がられるので言えません。これは台所の秘密。でも、どうしてあんなに、実感のこもったなまなましい発音ができるのだろう?

ゆっくりした日曜日

2004年11月28日(日)

 家は幹線道路沿いにあるのですが、日曜日は家の周囲から聞こえてくるもの音ものんびりしているようです。それからキャッチボールをする人の声なども聞こえてきます。

 ネット書店で「うさぎとトランペット」の予約がはじまっているのはちょっと、どきどき。なにしろ金曜日(26日)の夜にはまだ新潮社の担当者と二人で再校を直していました。あ、いや、ちゃんと予告どおりの発売日には本になっています。そのはず。大丈夫。

 光が丘公園も、我が家の周辺も見事な紅葉が終わりかけています。今年はいつまでも気温が高いので、紅葉は期待できないなかと思っていたのですが、急激に寒い日があったりして例年よりも見事なくらいです。

 牛のすね肉の大きな塊が手に入ったので、今夜はこれをことこと煮てポトフにすることにしました。煮込み料理って暖房が入るちょっと前に季節には、家を暖める効果もあって、ちょうどいいんです。

しょんしょん

2004年11月27日(土)

 日本中が夜更かしになっているようで、熊本にも午前2時まで開いているスーパーがありました。そこでみつけたのは「しょんしょん」です。はて、これはなんだろうと瓶詰めを見詰めてしまいました。

 醤油の実という言い方があります。麹のことをそういうらしいのですが、「しょんしょん」は麹がたくさん入ったなめ味噌です。醤油の実から「しょんしょん」という言葉ができているのでしょうか?

 九州の甘いお醤油を初めて口にした時には、醤油が甘いなんて絶対に許せないと感じたのですが、これになれてみると白身のお魚の刺身などは、関東の生醤油よりも旨くかんじられるくらいです。真夜中のスーパーに行ったのはこの甘い醤油が欲しかったためです。

 甘いといえば九州で使う麦味噌も独特の甘さを持っています。こうした調味料の甘さは砂糖が貴重だった時代の名残が感じられるようです。また関西ではあまり納豆を食べないと言われますが、なぜか熊本の人は納豆が好きな様子で、多様な納豆が売り場には並んでいました。ところかわれば品変わるという原則は今でも生きているようです。「しょんしょん」を一瓶買ってきました。もちろん甘いお醤油も手にいれてきました。

干筍

2004年11月24日(水)

 熊本で見つけた二つ目の不思議なものは干筍です。たぶん、干したけのこと読んでいいのだと思いますが、ビニールの袋には「干筍」の文字がありました。文字どおり、たけのこの干物です。

 前から不思議に思っているのは魚を干したものは「ひもの」で魚以外は昆布のような海のものでも、干瓢のような山のものでも「かんぶつ」になるのはどうしてなのでしょう。だから、ほんとうはたけのこの乾物と言わなかればならないのですが、たけのこを広げたカラカラに干した様子は「干物」という言葉がぴったりです。

 一晩、水に漬けて戻してから、炒め物などにすると良いらしい。今のところまだ台所に放り出してあって調理はこころみていません。でも、たけのこの干物があるということは、それだけたくさんのたけのこが収穫できるということでしょう。きっとたけのこの季節に熊本に行ったら、八百屋さんの店先にはさぞ見事なたけのこが並んでいることでしょう。

東洋大学吹奏楽研究部の井上さんからご案内をいただきました

2004年11月23日(火)

 東洋大学吹奏楽研究部の井上さんから定期演奏会のご案内をいただきました。



東洋大学吹奏楽研究部 第42回定期演奏会のご案内
<日時>12月25日(土)開場16:30 開演17:00
<場所>川口市総合文化センターLILIAメインホール
<曲目>T部 ビザンチンのモザイク画(F.チェザリーニ)他
    U部 バレエ組曲「くるみ割り人形」より(P.I.チャイコフスキー)
       交響曲第5番二短調第4楽章(D.ショスタコーヴィッチ)
    V部 ステージマーチングショウ「武士道〜The Way of the SAMURAI〜」
 入場料500円(小学生以下無料)
年末のお忙しい時季かとは存じますが、部員一同、皆さまにお会いできることを楽しみにしております。

尚チケットにつきましては当部公式ホームページ中のい「演奏会のお知らせ」のページにアクセスしていただけましたらこちらからお送りいたします。
ホームページhttp://toyowindband.hp.infoseek.co.jp

ひともじのぐるぐる

2004年11月20日(土)

 熊本に行ってきました。詩人の伊藤比呂美さんのご紹介で熊本近代文学館で、シンポジウム形式の講演会に参加してきました。

 で、熊本で食べたのが「ひともじのぐるぐる」なんと言っても名前が気にいってしまいました。ひともじは細いねぎのことです。昔の女房言葉でねぎのことをひともじと言いました。それが熊本には残っているのかもしれません。伊藤さんの話では、熊本では細くて青いねぎが主流で、最近になって関東でみるような白い部分が多いねぎも出回るようになったとのことでした。

 ぐるぐるは、そのまま青いくて細いねぎをぐるぐる巻いてあるのです。ぐるぐる巻いてから茹でるのか、それとも茹でてからぐるぐる巻くのかが解らないのですが、これがおいしい。とりあえず、茹でてからぐるぐる巻いてみました。すると、なんだか、それっぽい味になりました。もっとも、九州のひともじは関東で出回っている万能ねぎよりも、ずっとやわからいのでぐるぐる巻いてもおいしいのでしょう。包丁の通りが優しい感じでした。

 酢味噌で食べます。お魚の刺身や蛸や烏賊の茹でたものを添えてもおいしいです。新発見でした。

穏やかな日

2004年11月09日(火)

 今年の秋は穏やかは日が数えるほどしかなかった気がします。こんな年もあるのですね。

 イラクではファルージャの総攻撃が始まっていますが、これは2、3日で収まるような局地的な戦闘ではなさそうに思えます。

 アラファト議長の危篤が伝えられた時に、アメリカで原油価格が値下がりしたのは、これでテロがなくなるという判断からだったと伝えられています。にわかには信じがたい判断でした。もし、そうした判断から原油価格が値下がりしたのだとしたら、アメリカの人文科学は想像以上の水準の低下を起こしているとしか思えません。そうした傾向は、イラク戦争開戦前後から見受けられたものでした。

 穏やかな日を楽しめるに楽しんでおこうかなという気になるのは、全体の不穏な空気もためでしょうか?

 ここ数日、関東の平地でも紅葉が広がりました。

言えないことがあると

2004年11月06日(土)

 プロ野球のパ・リーグ再編問題は新球団を楽天が作ることで決着したわけではないとささやかれていましたが、今朝の日経新聞はコクドが西武ライオンズの売却先を探していることを報じています。これより先にダイエーホークスも売却先を探しているわけですがら、今年のストーブリーグは凄いことになりそうです。

 パ・リーグだけではありません。昨晩、東京証券取引所は日本テレビを管理ポストに移しました。西武と同じ理由で、株式取引のもとになる資料に「虚偽」記載があったとこが理由です。これも、読売巨人軍には打撃になるような事件にまで発展するのでしょうか?

 日経新聞の記事のニュアンスを読むとどこの企業でも多少はやってきた株の社内保持を、市場の正当なルールに戻そうとするのが、このたびの動きのようです。告発される側から見れば、突然のルールの厳格化ということになるでしょう。

 プロ野球の再編問題は最初から奥歯にものが挟まったようなもどかしさや、わけの解らなさがありましたが、その裏には言えないことがいっぱいあったということでしょう。奥歯にものが挟まったような感じというのは「言えないこと」があるときに出てくる感覚なのです。

アメリカ大統領選挙で詩人の伊藤比呂美さんが

2004年11月04日(木)

 カルフォルニアにお住まいの詩人の伊藤比呂美さんがメールを下さいました。アメリカ大統領選挙でブッシュが勝利して、伊藤さんの周りでは「こうなったらcivil Warしかないね」なんて冗談が飛んでいるそうです。前の時みたいに南北にきっちり分けられないから、そうもいかないかと言いながら、目は笑っていないということでした。

 アメリカが四分五裂。今度は南北東西戦争なんてことはないでしょうけどね。そういう想像力も働くほど、現在のアメリカにちょっと不穏な雰囲気は感じます。リベラル(進歩派)もコンサバティブ(保守派)もいずれも妙に急進的で、どうかすると狂信的なところがあるのがアメリカに見えます。

 リベラルはほんと一挙に人間の自由を王国を作ろうとするし、コンサバティブは明日にも神の理想の国を目の前に出現させようとするようなところがあるという気配は、9・11以前からありました。

 

うさトラ!うさトラ!!うさトラ!!!

2004年11月03日(水)

 新聞を見ていたら、今夜、吹奏楽コンクールの全国大会のドキュメンタリーが放送されるのを見つけました。7時から9時まで日本テレビで放送されます。
 吹奏楽のコンクールをテレビで見られるなんて、ちょっと意外な感じがしましたが、楽しみです。

 中学生の吹奏楽部の様子を描いた「楽隊のうさぎ」では全国大会が開かれる東京高井戸の普門館も取材させてもらいました。大型の円筒形の建物です。そのロールケーキが垂直に立ったような姿は道路からもよく目立ちます。

 「楽隊のうさぎ」の続編として書いた「うさぎとトランペット」を略して「うさトラ」と呼んだのは我が家の娘でした。この呼び方はすっかり定着してしまい今ではいろんな人が「うさトラ」と呼んでいます。12月に新潮社から刊行されます。

 「うさトラ」は早く大人になった小学校5年生のみきちゃんとゆっくり大人になってゆく宇佐子ちゃんが吹奏楽の社会人バンドのメンバーと仲良しになって行く物語です。早く大人になった女の子とゆっくり大人になった女の子の二人を描き分けるのは楽しい仕事でした。もちろん、「楽隊のうさぎ」に登場した花の木中学の吹奏楽部のメンバーも登場します。

 コンクールの結果を目標にするのは中学生、高校生ですが、社会人はコンクールの結果よりも何よりも音楽が「好き」という気持ちが前に出るように思えます。そういうところが自然な感じで描けたらなあと思っていました。さてさて、原稿は入稿できましたが、これから校正で最終チェックに入ります。実はまだ直したいとろこが幾つもあるのです。

フランス万歳

2004年11月01日(月)

 夜来の雨が上がって、天皇賞。昨日は東京映画祭の最終日に行こうかそれとも天皇賞に行こうか迷っていたのですが、結局、東京競馬場のほうを選択。

 雨は上がりましたが、馬場の芝はたっぷり水を含んで、「やや重」の表示でした。馬場内へ入って芝に座ると、土の匂いと芝の匂いがしてました。お尻はけっこう冷たかった。この広々とした場所の草の匂いが嗅ぎたかったんだなあと自分の選択の理由をちょっと納得。昨年から改装工事が進んでいる東京競馬場の内装はなぜか一昔前のパチンコ屋さんみたいにぎらぎらしていました。あんまり好きにあれないなあ。

 さて、天皇賞ですが、アメリカの大統領選挙が近いのでサクラプレジデントとリンカーンなんて組み合わせがあるかなあとなんてバカな予想をして遊んでました。

 結果はペリエ騎手騎乗のゼンノロブロイとルメール騎手騎乗のダンスインザムードが一着、二着で、フランス万歳でした。

   
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