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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

漫才・落語・話芸の時事ネタ

2018年12月14日(金)

 お笑い芸人の時事ネタがどうのこうのと言うけど。1995年4月オウム事件で騒然としていた日本へ米国から帰ってきた知人が「東京都知事は青島幸男、大阪府知事は横山ノック」と聞いて思わず「今日は4月1日か!」と叫んだと。時事ネタ扱わなかったら、こういう結果もなかったはず。良し悪しは別だけど。
 やすきよで漫才ブームをリードした横山やすしが亡くなったのが1996年1月。お葬式で弔辞を読んだ相方の西川きよしは参議院議員。師匠の横山ノックは大阪府知事。まさか「お笑いで時事ネタをあつかっていいのか、政権風刺をしていいのか」なんて騒ぎになる時代が来るなんて、あの時は想像もしなかった。 
 お笑い芸から権力の風刺を抜いたら、残るものは幾らもないんじゃないかと。そういう時代もあったのにねえ。芸人が権力の風刺もできないなって、言論封殺だなんて、言う以前です。
 漫才や落語で時事ネタを扱うことが議論になることそのものが異様。政権に批判的な時事ネタをやったらテレビから干されることはもう非常事態であることを示している。外国ではよくやっていると紹介されるが、冗談じゃない。参議院の2院クラブで寄席が開けそうな時代もあったのだから。 
 まだ20歳やそこらの人が20年前のことを知らないのは当然。生まれる前、物心つく前なんだから。
 50歳、60歳ともなれば、青島幸男の意地悪婆さんも見ている、てんぷくトリオの「パンパカパ〜〜」も知っている。やすきよの漫才に笑い転げている。談志の毒舌に呆れるなんてことがあったはず。
 それを覚えていたら。現在の社会がいかに異様な状態になっているかが分かるはずなのにけろりと忘れているのが怖い。いや忘れさせられているのが怖い。国会でどんな法律が作られてもすぐ忘れる。政府予算をデタラメに使われても忘れる。忘れさせらる。そして財布の中の禍は忘れた頃にやってくる。

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