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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

アダムさんと仙台へ行く

2018年08月15日(水)

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ドイツのトーリア大学から資料収集のために日本に来ているアダムさんが、ウィーンで柳美里さんをアテンドしたことがあると言うので、柳さんが小高に開いた書店フルハウスへ案内する約束をしたのは4月のこと。
 それからあれやこれやで、とうとう行けるのは8月11日ってことになってしまった。で、柳美里さんへの連絡や準備はすっかりアダムさんまかせ。「その日は朗読会があるそうです」とアダムさん。そりゃあ、ちょうどいいやとは思ったものの詳しい話は聞かず。10日に仙台1泊で翌日、小高へ行くという計画。
 8月10日の東京駅がどれほどの混雑なのか想像もしてなかった。「お盆に入っているから」とアダムさんに説明「おぼん?」と言うアダムさんに「ご先祖様が帰ってくるから、みんな自分の生まれた家に帰る習慣があるの」と話ながら、以前、イタリア人の詩人にお盆の説明をしたら「ゾンビの日なのか」と問い返されびっくりしたのを思い出した。アダムさんは日本文学専攻でもうすぐ博士論文を書き上げるはずだから「お盆」は素直に納得してくれた。
 で、東北新幹線「やまびこ」自由席に飛び乗る。座席を確保できたのは幸い。栃木県は入ったあたりで、前方に大きな積乱雲が現れる。で、ものすごい雨の中へ新幹線が突っ込んでいっあとで分かったのだけど、那須から群馬にかけて記録的な豪雨だった。
 仙台に到着してから、駅で牛タンを食べようとしたんだけど、ここも行列。しかたなくホテルへ行ったら、隣が伊達の牛タンの本店だった。ラッキー!その「伊達の牛タン」で食べた海鞘がめちゃくちゃに美味しかった。磯の香と潮の香がほどよくミックスされた海鞘。翌朝、仙台の朝市へアダムさんをむりやり引っ張り出して、海鞘の塩辛を買いました。ほんとは海鞘が欲しかったんだけど、持って歩けないから仕方ない。
 朝市のおばさんがアダムさんをさして「お孫さんかしら?」って聞かれたの。う〜〜ん、孫はいるけど、こんなに大きくないんだなあ〜と。ちなみにアダムさん紅毛碧眼です。アダムさんは「仙台駅前は北九州に似てますね」と言う。駅前の歩行者用の大きな歩道橋を設置するのが、再開発の定番になっているから、そう見えるのだろう。朝市は再開発のビルの谷間に沈んでいた。キノコの水煮を売るキノコ屋さんの姿も見えなかった。大型商業施設に囲まれ市場が規模縮小したり、観光客相手の商売に変わったりしているのも、日本の至るところで見られる光景。せっかく仙台に来たのに、佐伯一麦さんに連絡するのを忘れたのが残念だった。出がけにあっちこっちにメールを書いたり、問い合わせをしたりして、佐伯さんに連絡できなかった。
 さあ、いよいよ小高を目指し常磐線に乗車しようという時、アダムさんが「今日、朗読会をなさるのはこの方です。なんと読みますか?」とスマホの画面を見せたらた。なんとそこには「佐伯一麦」と。思わず自分の迂闊に大笑いをしちゃいました。

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