中沢けい公式サイト 豆畑の友
ホーム プロフィール・著作リスト 中沢けいへの100の質問 中沢けいコラム「豆の葉」 お問い合わせ
中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

サン=テグジュペリ「星の王子さま」のこと

2018年08月10日(金)

 サン=テグジュペリ「星の王子さま」が改変された商品が売り出される件について調べていたら、以下のようなことが分かりました。FBからのコピペです。

 岩波の「星の王子さま」のオリジナルバージョンが届いた。サン=テグジュペリ作内藤濯訳 岩波書店。2000年3月10日発行 届いたのは2017年9月25日発行の第31刷。この本は多くの人に愛され、今も読み継がれている本です。
 サン・テグジュペリの妹の孫にあたるというフレデリック・ダグーさんが「まえがき」で「星の王子さま」はサン=テグジュペリが1941年から1943年の米国亡命中にニューヨークの出版社から出されたものだという事情を書いている。フランスは1940年6月からナチスに占領されていた。
 亡命先のニューヨークからフランス自由空軍に志願。1944年7月偵察飛行中に地中海上空で行方不明になる。1998年偶然サン=テグジュペリの名と妻の名、連絡先としてニューヨークの出版社レイナル&ヒッチコック社(「星の王子さま」の版元)が記されたブレスレッドが発見され、続いて機体も確認された。
 「星の王子さま」の背景にはこういう物語があるのですね。原題は「Le Petit Prince」で直訳すれば「小さな王子」。これを「星の王子さま」としたのは翻訳者の内藤濯(ないとうあろう)氏。この邦訳のタイトルがなければ三遊亭圓楽師匠(5代目)が「星の王子さまです」と名乗って笑いをとることもなければ、日本国内で多くの読者を得ることもなかったにちがいない。優れた邦題。タイトルには著作権はないが、岩波書店は「星の王子さま」が内藤濯氏のつけた邦題であることを表記するように後続の新訳を出す出版社に求めている。
 昨日は「ムーミンの日」だったけれども、ムーミンももともとはナチス占領に抵抗するためにフィンランドのトーベ・ヤンソンが描いていたトロールの絵だった。私が子どもの頃、買ってもらった本は、欧州の戦争が生み出した作品だったことに今頃になって気づいています。
 私は読書人8月3日号に吉野源三郎「君たちはどう生きるか」(岩波文庫)の書評を書いたのだけど、この長く読み継がれたコペル君のお話も言論が不自由になるなかで、少年たちのために作られたシリーズの1冊。最初に発行されたのは1937年(昭和12年)で盧溝橋事件の年。日中戦争勃発の年だった。
 子どものため、というよりも少年少女のための「哲学」の本、たぶん「星の王子さま」も「ムーミン」も「君たちはどう生きるか」も哲学の本と言ってよいと思うのだけど、それが言論の不自由な時代に書き記され読み継がれているのは偶然ではないだろう。

↓前の日記 / 次の日記↑

   
談話室 リンク集「豆の茎」 メルマガ「豆蔵通信」 サイトマップ